岩波新書<br> ロボットと人間 人とは何か

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岩波新書
ロボットと人間 人とは何か

  • 著者名:石黒浩
  • 価格 ¥1,034(本体¥940)
  • 岩波書店(2022/03発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319016

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内容説明

ロボットを研究することは,人間を深く知ることでもある.ロボット学の世界的第一人者である著者は,長年の研究を通じて,人間にとって自律,心,存在,対話,体,進化,生命などは何かを問い続ける.ロボットと人間の未来に向けての関係性にも言及.人と関わるロボットがますます身近になる今こそ,必読の書.

目次

プロローグ┴人間への興味/ロボット学/ロボット研究と社会の期待/人と関わるロボットの普及/コロナ禍とロボット/リモート会議システムの問題点/遠隔操作ロボットへの期待/遠隔操作ロボットと自律ロボットの違い┴1章 ロボット研究から学ぶ人間の本質┴ジェミノイドの研究開発/アイデンティティとは何か/ロボット社会/なぜ人間型ロボットが必要なのか/知的システム実現のための構成的方法/ロボットを用いた人間理解の研究/知能/身体性/マルチモーダル統合/意図や欲求/意識/社会関係/ロボット開発のロードマップ/マルチモーダルチューリングテスト┴2章 対話ロボットとロボット社会┴対話サービスロボット/家庭内対話ロボット/ホテル対話サービスロボット/語学教師ロボット/高齢者用の対話サービスロボット/自閉症対話サービスロボット/レストラン対話サービスロボット/ロボット社会の実現┴3章 アンドロイドの役割┴アンドロイドとヒューマノイド/アンドロイドの構造/偉人アンドロイドの例/アンドロイドの製作方法/声と語り/アンドロイド製作における重要な問題/アンドロイドの基本原則/社会的人格とプライバシー/アンドロイドになることによる人間の進化┴4章 自律性とは何か┴人間の意図や欲求/サブサンプションアーキテクチャ/ロボットの意図や欲求/音声に伴う人間らしい動作/対話を続ける傾聴機能/間違いを正す機能/自律対話アンドロイド「エリカ」/マルチモーダルチューリングテストへの挑戦/選好モデルと人間関係/自律性の本質┴5章 心とは何か┴ロボットに感じる心/ロボット演劇「働く私」/アンドロイド演劇「さようなら」/アンドロイド演劇「変身」/心とは?┴6章 存在感とは何か┴アンドロイドに感じる存在感/不気味の谷/遠隔操作ロボット「テレノイド」に感じる存在感/対話ロボットのミニマルデザイン「ハグビー」/想像を引き出す二つのモダリティ┴7章 対話とは何か┴二体で対話するロボット「コミュー」/音声認識なし対話/意図認識なし対話/洋服を販売するアンドロイド/アンドロイドとのタッチパネル対話/人間どうしのタッチパネル対話/対話の本質┴8章 体とは何か┴遠隔操作アンドロイドへの操作者の適応/脳波による遠隔操作/脳とアンドロイドの体の がり/侵襲型ブレインマシンインターフェース/スマートフォンと脳/第三の腕/体の本質┴9章 進化とは何か┴進化における二つの方法/人間と技術の関係/人間は無機物から生まれて無機物に戻る/新たな人類の誕生/無機物の体によるカンブリア爆発┴10章 人間と共生するロボット┴スマートスピーカーの発展/命令する関係から共生する関係/自動運転の電気自動車と対話ロボット/対話ロボットが変える未来/アバターの研究開発/新たな社会問題/人間アバター・ロボット共生社会┴エピローグ┴未来を考える力/未来は自分で創るもの/ロボットを通して人間を考える/未来は可能性に満ちている

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おせきはん

32
ロボットが人間に近い存在になったとしても、人間を相手にするときほど気をつかわなくてよいのはロボットの優位性の一つだと思いました。ロボットが人間に近づいてきた後は、石黒先生がおっしゃるように人間が機械(無機物)になっていくのでしょうか?アンドロイドの研究開発を通じて人間の心や体の本質に迫っていく様子を興味深く読みました。2022/01/25

けい子

20
この先生は遠隔操作やロボットの研究を30年ほど前から発表してきたにも関わらず広く普及しなかったらしい。「人の存在に関わる技術は簡単には社会には浸透しないから」だという。しかし、突然コロナ禍になり一気にこの技術が使われるようになるが、それは30年前のものらしい。確かに使いにくい。本書での遠隔操作で特に興味をもったのは、30分くらいのトレーニングで「考える」だけでロボットを操作できるようになる実験結果だ。これすごくない?。この技術が広まれば病気で体を動かす事ができない人達の助けになれる。…続く↓2022/04/15

さちめりー

8
いつか人間の脳がコンピュータに置き換わる未来が来るのだろうかと考えていたところに、図書館の新刊コーナーであのロボット研究の第一人者の書くこの著書と目があった。主には現在の実生活でのロボットやアンドロイドの姿かたちや会話や身振りや倫理などについて解説が続く。文章や写真だけでは自分の想像力が及ばないためアンドロイドたちの様子を動画で確認しながら読み進めた。遠い人間の未来予測も描かれる。それは〈無機物の知的生命体〉だという。まさに機械の身体。きっとそうなる。どうしても拒否の感情がわいてしまうのはなぜだろう。2022/02/20

jackbdc

8
”人の気持ちを考えなさい”少年時代の著者が突き当たった問いが原点。ロボット研究の第一人者がロボットや人工知能の知見を基に”人とは何か”を掘り下げる内容。豊富な実例と平易な言葉で綴られており脱落の不安はない。構成面では本文の途中で〈表記〉により要約が記述されているのが新鮮な体験だった。通例であれば冒頭や章末に配置される。このように途中に配置される事により、単なる要約では無いと感じられる。つまり本文に記述していないより広い文脈から著者があえて”気付き”として抽出しているような生々しさを感じる配置であった。2021/12/25

FuSa

7
自分そっくりのアンドロイドやマツコのアンドロイド(マツコロイド)を作成した有名なロボット研究者のここ10年ほどの研究についてまとめたもの。ロボットの話なんだけど認知科学とか心理学とか倫理、哲学の話を読んでいるようだった。ロボットを作ることは人間を理解すること。本書を読めば納得。石黒先生の好奇心、発想力と行動力、研究として実現する力は改めてすごいなぁと感じた次第。SFの世界の実現がすぐそこまで迫っているような感覚になった。2022/02/14

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