内容説明
原発事故とコロナ禍は,否応なく見えざるものの力を思い知らしめた.見えざるものである死者たちと私たちの関係にも,いま新たな変化が生じている.末木文美士,中島隆博,若松英輔,安藤礼二,中島岳志,眼に見えない領域をめぐって独自の思索を続けてきた五名が,死者と霊性をキーワードに,来るべき時代について討議する.
目次
《提言》近代という宴の後で(末木文美士)┴《座談会》死者と霊性(末木文美士(司会)・中島隆博・若松英輔・安藤礼二・中島岳志)┴第I部┴はじめに コロナ禍のなかで┴死者とのつながり方┴転換期としての二〇〇〇年代┴二つの震災をめぐって┴一〇〇年単位と一〇〇〇年単位┴第II部┴「近代」のとらえ方┴一九世紀のグローバル化と神智学┴インドの近代と霊性┴中国の近代と霊性┴日本の近代と霊性┴言語の余白について┴第III部┴死者たちの民主主義┴「政教分離」と「メタ宗教」┴「宗教」と「国家」の再定義へ┴「メタ宗教」の条件┴天皇と国体をめぐって┴哲学と宗教の再興に向けて┴死者のビオス(中島岳志)┴死者と霊性の哲学 西田幾多郎における叡知的源流(若松英輔)┴地上的普遍性 鈴木大拙,近角常観,宮沢賢治(中島隆博)┴「霊性」の革命(安藤礼二)┴あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
38
原発事故とコロナ禍は、“見えざるもの”の力を思い知らしめた。その“見えざるもの”である死者たちと私たちの関係にも、今、新たな変化が生じている。眼に見えない領域をめぐって独自の思索を続けてきた5名の論客が、死者と霊性をキーワードに、来るべき時代について討議。<会場には中島隆博さん、安藤礼二さん、司会の私(末木文美士)がおりまして、若松英輔さん、中島岳志さんは、それぞれのご自宅からリモートでの参加となっております。オンラインでの参加を含めての座談会であることが、「いま」という時代を反映している>と。確かに。⇒2021/11/24
かずぼう
28
オカルト本ではない、近代からの世相を哲学や宗教の観点から論じている。情報量が多く難解意味不明箇所多数。『民主』の主語は生きている人間生者になる、従って過半数によってさまざまのものが決定するシステム。対して『立憲』の主語は死者、いくら多数派が多数決によってそれを是としても、憲法上はそれはダメだとなる。安倍内閣では立憲主義を軽視してきたとしている。立憲と民主はぶつかりあうが民主優位で考えて良いのか?と説いている。言っていることはわかるが、難しい問題だと思う。2022/02/16
岡本 正行
16
学者やらその道の大家が座談会で発言していて、それなりに面白みはある。流れで、いいなと思う。結局、空気KY,終わってしまえば、それまで。もう一度、じっくり読んでみたいとは思う。死者も霊も、現世から退いてしまえば、存在はしない。生きる者、存在する者にとっての死者や霊性の存在、それは考える。歴史や過去の文学を、終わったものは終わったものとして、自分自身のものとする。今がすべて。 2021/10/20
浅香山三郎
10
末木文美士・中島隆博・若松英輔・安藤礼二・中島岳志の五氏による座談会をベースにする。岩波新書では余り多くないスタイルか。コロナ禍の最中といふ時期とも相俟つて、死者や霊性を通じて人類が培つてきた思考を対話を通じて再検討する。19世紀の神智学、日本における近代に対する宗教人の対応、内村鑑三の無教会主義など、死者ヘの向き合ひ方ヘの思想を辿ることで様々な論点が展開し、示唆に富む。2023/02/17
入道雲
8
あっちもこっちも知見が無いために理解が追いつかないが、第Ⅲ部は分かりやすい。生きている者が全てでは無く、死者との対話(この部分は読まないと伝わらないだろう。文字通りでは無いので、文字通り捉えないで下さい)が必要であるという考え方。まさに日本国憲法の立ち姿が見えた。そして、今の政治、国民が失ったもの、失わされたもの、捨てたもの、それらを改める視点を持つ必要があると感じた。2021/10/15
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