内容説明
言葉のその先にいる「人」がわかりたくて、カタコトの旅に出た。台湾で筆談した屋台のおかみさん、国を追われカリフォルニアで違法民泊するガール、バンコクで出会ったブチ上げガン盛りマッサージ師、治安の悪い歓楽街に降臨した、スキンヘッドにスリップドレスのバブリーなジャーナリスト――わかりあえるはずなんかない、でもやっぱり「わかりあいたい」。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTs取材などを経て、愛と性、言語や異文化交流のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子がおくる、言葉、国境、文化、ジェンダー、イデオロギー、あらゆるものを飛び越えていく言語系旅エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
96
旅の本が好きだ。日本を飛び出してフランスで暮らし世界各国に旅をした記録。現地の人と知らない言葉で会話して、後で意味が違っていたことに気づく経験。フィンランドのバスの中でそこに住む女の子にフィンランド語で「kiitos」とあいさつをしたあの時の気持ちはかけがえのないものなのだ。今日も路面電車にあの子は乗っているのだろう。世界の中で日本人のわたしはAPI。アジアン・パシフィック・アイランダーズの一員と分類されるらしい。どれも強烈なパンチの効いた旅の物語だったが、ニュージーランドのファカタネの話が一番だったな。2024/08/17
tetsubun1000mg
14
滞在したり、訪れた外国での現地語や英語での会話を題材にしたエッセイという感じ。 冒頭の「羽田と成田を間違えた」で捕まってしまうが、外国での体験や会話で起こった自分の中の感情をひたすら著述したような内容。 まるで自分の気持ちを吐き出すような印象。 あまり読んだことが無いタイプのエッセイ集だった。2023/01/30
多津子
11
行動力と想像力が豊か。旅行記だと思っていたが、旅を通したアイデンティティに対するエッセイだった。最初の羽田と成田を間違える話が面白かった。旅の話を読む動機というのはいろいろある。知らない国の文化や人々の様子が知りたかったり、いつか行くときの参考にしたかったり、自分が行った場所を他の人がどのように感じたのかを知りたかったり。自分だったらどうするだろうと妄想旅行プランを組み立てたり。そうやって現実逃避してリフレッシュしたくて読むには適さない本だったが、自分にはない目線だったので色々と考えさせられた。2022/09/19
三色かじ香
5
他文化との接し方が上手な人だな、と思いました。行く先々で言葉を学び、感じ、ときには片言でコミュニケーションをとって様々な経験をする。文章を読んでる方も楽しくなってくる、出会えてよかったと思えるエッセイでした。2023/02/19
ソバージュ
3
図書館本。伝えたい気持ちが胸中に溢れているのに言葉に出来ないもどかしさ、言葉が解らない辛さを何度もしてきたので、共感し旅行記として読み始めたが、だんだん強烈な心情吐露に疲れを感じ途中で放棄しました。2025/07/13