新潮文庫<br> 少年(新潮文庫)

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新潮文庫
少年(新潮文庫)

  • 著者名:川端康成【著】
  • 価格 ¥539(本体¥490)
  • 新潮社(2022/03発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101001067

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内容説明

お前の指を、腕を、舌を、愛着した。僕はお前に恋していた――。相手は旧制中学の美しい後輩、清野少年。寄宿舎での特別な関係と青春の懊悩を、五十歳の川端は追想し書き進めていく。互いにゆるしあった胸や唇、震えるような時間、唐突に訪れた京都嵯峨の別れ。自分の心を「畸形」と思っていた著者がかけがえのない日々を綴り、人生の愛惜と寂寞が滲む。川端文学の原点に触れる知られざる名編。(解説・宇能鴻一郎)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

92
50歳になり、全集の刊行のための資料として中学時代の日記を読む。父は医師。2歳で死去。母は3歳で死去。7歳に祖母死去。10歳姉死去。15歳祖父死去。孤児となり16歳で茨木中学の寄宿舎に入り、清野と知り合う。同性愛というより肉体の美、容貌の美への愛なのだろう。18歳で一高に入学し東京で寮に入るが、毎年伊豆・湯ヶ島へ出かけ、踊り子に出会う。24歳で「湯ヶ島での思い出」を書き、その一部が「伊豆の踊り子」として28歳の時出版され、残りは清野との思い出である。最後に会ってから30年、清野からの手紙も含めて焼却した。2022/05/14

佐島楓

74
川端康成は作家としてのデビューが早いため、実働時間も長く、作品数が多い。主要な作品(特に小説)は読んだつもりでいたのだが、読みこぼしていたので手に取る。旧制中学時代に愛していた少年との交流を記録したもので、おそらく実話であろう。卒業後も手紙での交流があったり、少年が新興宗教の信仰を持っていたことなどは初めて知った。川端は愛するより愛されることを求めていたひとだと思っているのだが、正直言ってよくわからない。文章がつかみどころがないところがある。ただ今後も研究対象になる作家であることは間違いない。2022/04/03

藤月はな(灯れ松明の火)

61
50歳になった川端康成氏は、寄宿制時代の手紙や日記を基に回想する。それは自分を純粋に慕ってくれる後輩、清野少年への仄かな執着と思慕だった。彼との寝床での語らいは平穏で、触れ合いは「愛したい/愛されたい」という表裏一体の希求を埋めうるものだ。だが、卒業し、彼が実家の新興宗教の修行に励む様にになった途端、永遠に別たれることになる。最後に「ここに全てを書き残せたので日記や手紙などは焼却する」という思い切りの良さは最も美しい思い出を書き残せたという悔いのなさか、遠くになってしまった美しき少年時代への惜別なのか。2022/09/23

万葉語り

49
作者が50歳になって、寄宿舎時代の日記と同室だった後輩の手紙、名作伊豆の踊子の元になった湯ヶ島の想い出などの作品をそのまま引用しつつ作品にまとめ上げたもの。巻末のエッセイにある、川端文学の女性には匂いがない。には共感した。求めながらも臆病で核心に触れられない付き合い方に、登場人物の孤独を強く感じた。2023-1612023/12/14

優希

40
旧制中学で出会った清野少年との純愛を描いた作品。寄宿舎での特別な関係を川端が50歳の記念に追憶として紡いでいるのですね。互いに許し合った関係が耽美で美しかった。それは川端にとってかけがえのない日々そのものだったからでしょう。人生の愛惜と寂寥。川端文学の原点がここにあるのですね。2025/12/17

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