内容説明
性愛と淫蕩のイメージで語られてきたイスラム世界の後宮・ハレム。奴隷として連れてこられた女官たちは、いかにして愛妾、夫人、母后へと昇りつめたのか。ハレムを支配する黒人宦官と、内廷を管理する白人宦官は、どのように権力を手にしたのか。600年にわたりオスマン帝国を支えたハイスペックな官僚組織の実態を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
92
千年の都イスタンブルに住まい、3つの大陸に蟠踞し、再三に亘り欧州を震撼せしめたオスマン帝国。その家産でありながら官僚組織であったハレムについての一書。六点もオリエンタリズムに支配された脳味噌の持ち主であるのは言うまでもなかった。が、「後継者生産」という現実に軸足を置く組織が、此処まで凄まじい程、組織化されていたとは知らなかった。新知識を手に入れたと感じるのは読書経験の一つの喜びであるといえよう。WW1で滅んだ4つの帝国が現存していれば世界はどれほど、独自の風習に満ちていたかと残念に思う。2022/07/23
チョコ
61
オスマン帝国外伝にハマっていて色々オスマン帝国の本を読んだ中で、1番わかりやすかったし面白かった!とにかく一にも二にも王家の血を引く子孫を残す事に尽きるんだなぁ、と。そして、やはり衝撃的なのは宦官。ドラマではおちゃらけたキャラクターが多いけど、辛い少年時代だったんだなぁっと思う。2022/12/03
キムチ
48
期待しなかった展開の内容は拾い物、思いの外熟読。近世以降、欧州発の偏った考えは気付いていたものの、ハーレムの新たな視点は興味を深めた。専ら王位継承の観点で完璧なヒエラルヒの元に築かれたこの制度。広大な領土を誇ったオスマントルコが多人種の内より奴隷として供給されてきた男女で組織。黒人宦官、小人、唖者の存在は重要であった。中・鮮、日本と異なり皇后の影は薄く母后が重い存在。供給の多くはクリミア近辺、チェルキス人。最も非ムスリムを原則としていた奴隷、しかしこのエリアは供給も積極的な為もあり不問。従いキリスト教徒2022/08/10
崩紫サロメ
31
性愛と放埒、といったオリエンタリズム的な視点で捉えられがちなハレムのあり方をオスマン帝国史の視点から検証する。著者は、オスマン帝国建国期から滅亡までを通して「ハレムは徹頭徹尾、王位継承者を確保するという目的に特化された組織だった」(p.274)と官僚組織であることを指摘する。また、中公新書『オスマン帝国』ではスルタンの年代記の形をとった通史を描いた著者であるが、本書はハレム・外廷・内廷といった空間とそこに生きる人を通して描くオスマン帝国通史でもある。著者の視点、構成力に毎回感心する。2022/04/22
ピオリーヌ
22
ムスリム諸王朝における王族女性のあり方には「アッバース朝型」と「トルコ・モンゴル型」がある。前者は王族女性を空間的に隔離し、ハレムには奴隷出身の寵姫たちがおり、彼女たちの息子は王位継承者として、正妻の子と変わらぬ扱いを受けた。後者は相対的に隔離される度合いは少なく、儀礼や祝宴などでは積極的に姿を現し、王位継承においては、王子の母親の血筋が重要な要素として考慮された。オスマン帝国のハレムは、トルコ系の出自でありながら前者の「アッバース型」を採用しより精緻化させた。ハレムの女奴隷の出自としてまず挙げられ2024/01/08




