内容説明
野村萬斎は、今では子どもから大人までその名を知る人気俳優であり、演出家としても活躍する、狂言方・和泉流の能楽師。だが、多くの伝統芸能の役者の中で、なぜ彼だけがそうなれたのか。萬斎個人の軌跡、政官界から作家・永井荷風らともつながる華麗なる家系はもちろん、能・狂言の歴史を丁寧に紐解き、それぞれの流派の背景や、明治維新から戦後、そして現代までの流れをわかりやすく解説する。古典芸能の教養書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
29
野村萬斎リスペクト一辺倒かなと思いきや、野村萬斎さんのパソナリティーはあまり書かれていません。能狂言を分かりやすく素人に教えてくれる本でした。能狂言の歴史、文化、家系など広く知識と気付きを与えてくれる一冊です。タイトル副題にある、野村萬斎さんが一人勝ちの理由は、狂言の稽古を通して得た能楽師としての表現力や美意識が全ての芸能活動に役立っていると言うことでしょうか。素人の方にお勧めです。2023/07/11
流之助
9
狂言は野村萬斎しかしらないズブの素人の私。ある意味この本のタイトルを証明するような私が読んでみたわけだけれど、野村萬斎がいかに凄い血を引いているのか、その父親が何を成した人なのかをざっくり知ることができた。それだけに、あとがきにもあった東京2020の件は残念でならない。芸術を継承する人を評価する前に、観る我々の方の知性も試されている感覚は大事だと思った。2025/02/24
しゅうこう
2
野村萬斎さんは「にほんごであそぼ」で初めて拝見した時から惹き込まれてしまい、以来今に至るまでずっとファンである。どうしても今まで本人のみにフォーカスしてしまっていたため、どんな家系で、どんな血を受け継いでいるのか改めて深掘りできて良かった。本書にもあったが、東京五輪の苦い思い出のうち、一番残念なのは野村萬斎さんを欠いたことだったと思う。彼が演出の舵取りをしてくれたらどれ程日本文化の素晴らしさを伝えられただろうか。こんな日本の伝統を濃く受継いでいる貴重な存在がまだ十分に世の中に広まっていないのがもどかしい。2023/03/11
スコットレック
2
本のタイトルは野村萬斎。前半は彼の生い立ち、伝統芸能だけにとどまらない活躍の数々が語られていますが、後半は彼の父、野村万作や他の人物達の描写が多いです。和泉元彌の騒動はゴシップとして興味深い。彼を掘り下げた新書の方も読んでみたいと思ったりしました。ところで能・狂言は馴染みのない人も多いかと思います。落語・歌舞伎に比べるとマイナー感は否めない。同時期に買った新書(大衆演劇)は本にQRコードがついていて本の内容に沿った動画が見れる、という工夫がありました。本書もそういった試みがあればまた良かったかと。2022/03/22
dorayaki
1
能の事はわからんかったし、萬斎が能やって言うのもあんまり理解してなかった。全部覚えていないけど、少しは理解したと思う。2025/08/17