ちくま文庫<br> スターメイカー

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ちくま文庫
スターメイカー

  • ISBN:9784480435651

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内容説明

肉体を離脱した主人公は、時間と空間を超え、宇宙の彼方へと探索の旅に出る。訪れた世界で出会った独自の進化を遂げた奇妙な人類と諸文明の興亡、宇宙の生命の生成と流転を、壮大なスケールと驚くべきイマジネーションで描いた幻想の宇宙誌。アーサー・C・クラークやスタニスワフ・レム、J・L・ボルヘスをはじめ多くの作家に絶賛され、多方面に影響を与えてきた伝説の作品を全面改訳で贈る。

目次


第一章 〈地球〉
1 発端
2 星々と地球
第二章 星間を翔ける
第三章 〈別地球〉
1 〈別地球〉について
2 せわしない世界
3 人類の予見
第四章 ふたたび宇宙へ
第五章 数限りなき世界
1 諸世界の多様性
2 ふしぎな人類
3 オウム貝状船人類
第六章 〈スターメイカー〉の兆し
第七章 さらに多くの世界
1 共棲人類
2 複合的存在
3 植物人類たち
第八章 探索者たち
第九章 諸世界の共同体
1 せわしないユートピア
2 諸世界間の紛争
3 銀河史における危機
4 亜‐銀河における勝利
5 倒錯者たちの悲劇
6 ある銀河ユートピア
第十章 銀河のヴィジョン
第十一章 星と禍害世界
1 多くの銀河
2 わが銀河の災禍
3 星たち
4 銀河共棲体
第十二章 成長を阻まれた宇宙神霊
第十三章 はじまりと終わり
1 星雲へと遡る
2 至高の時、迫る
3 至高の時、それから
第十四章 創造の神話
第十五章 創造主と諸作品
1 未熟な創造
2 円熟の創造
3 究極のコスモスと永遠の神霊
第十六章 エピローグ──ふたたび地球へ
宇宙のスケール
タイムスケールⅠ
タイムスケールⅡ
タイムスケールⅢ
オラフ・ステープルドン 生涯と作品
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

110
夢想の宇宙大探訪物語。そのスケールの巨大さに圧倒された。スティーヴン・ホーキング博士の理論を具体的に説明を受けているような迫力だ。巻末にタイムスケールが掲載されているが、まさに対数表の世界である。宇宙=コスモスを創出したスターメイカーの出現を待っているのだが、それはそのまま創世主であるエホバの話だと思った。「創世記」のその後だ。1933年の作品とのことだが、よくもここまでしっかりと書けたものだと感心、ただただビックリで、腰が抜けそうになった。暇ができたらじっくりと読み直したい。 G762/1000。2025/08/06

姉勤

38
相対性理論や量子力学が萌芽し出した1930年代に、最近のマルチバース理論やインフレーション宇宙を想起させる、遠大な宇宙精神を"感知"し、記した、奇書。幽体離脱した「わたし」が他の星系意識体と接触し、昆虫、植物、宇宙船、ハイブリッドな生物から進化した知性体たちの興廃をヴィジョンとして経験する、精神の融合は、それは星の意思であり、星は星団、星雲、銀河、銀河群と集まり、滅びや残酷も、進化のための正解とする知性の集合や相剋によって究極的に膨張(もしくは縮退)した"スターメイカー"と’わたし’はどうなるのか。2023/10/17

Shun

36
SF史におけるまさに神話的大作とでも言うべき壮大さと難解さを兼ね備えた、ステープルドンの代表作が待望の新装復刻。一度は読んでみたいSF小説の1つでしたが、難解な哲学的思索に理解が追い付かない場面が多く「三体」よりも苦労し、スタニスワフ・レムの小説に近い印象。読者は宇宙の歴史を俯瞰し飛び越えながら数多の生命、そして文明が辿った道のりを辿っていくわけですが、そのガイドとなる集合意識に便乗し壮大な旅を体験します。それはまるで人の意識を保ちながら精神だけが時空を超えて宇宙を旅をしたような高揚感に満ちた経験だった。2021/12/04

特盛

29
評価4/5。ガーディアン1000SF。いやー疲れた。クラクラ来た。人生で読んだ小説の中で一番物理的・時間的広がりがある小説だ。三体が霞むくらい。ヘーゲルの精神現象学のSF版といった感じか。或いは宗教書でもあると言われれば納得。主人公の「視点」が多くの宇宙を彷徨う。宇宙の始原から終局まで、膨大な数の生物の始まりから終わりまでを悠久に近い時間の中で見届ける。争い、愛、宗教、文明の儚さ。そしてスターメイカーと名付けられた創造主の存在にも対自する。兎に角圧倒的な質量の物語。よくこんなの想像・書けるわと感心した筆致2024/09/23

小太郎

27
SFの歴史的名著というので読みましたが、これは時間が掛かった!話としては主人公が幽体離脱して宇宙の深淵を旅し訪れた世界で出会った異なる人類、文明にたいする哲学的思索が話の縦筋。ただ思弁的な内容と形而上学的な部分が多すぎてリーダビリティがそんなにあるわけではありません。でも1930年代にこれだけの壮大なSFが出来ていたことに驚きます。たしかにこの後の神や創造主などに関わる小説に絶大な影響を与えたのは間違いないと思いました。2021/12/14

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