講談社現代新書<br> 人はどう死ぬのか

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講談社現代新書
人はどう死ぬのか

  • 著者名:久坂部羊【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2022/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065277195

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内容説明

誰にも訪れる「死」。しかし、実際にどのようにして死んでいくのかを知っている人は少ない。人がどのような末期を知らないと、虐待に等しい終末期医療に苦しみ、悲惨な死を迎えることになりかねない。肉親が迎えたとき、そして自ら死を覚悟したとき、どのような死に方を選べばいいのか。在宅診療医として数々の死を看取った、作家の久坂部羊氏が、人がどのような死を迎えるのかをリアルに描き、安らかな死を迎えるために、私たちが知っておくべきことを解説する。その日に備えて、読んでおきたい「死の教科書」

はじめに
第一章 死の実際を見る、心にゆとりを持って 
第二章 さまざまな死のパターン
第三章 海外の「死」見聞録
第四章 死の恐怖とは何か
第五章 死に目に会うことの意味
第六章 不愉快な事実は伝えないメディア
第七章 がんに関する世間の誤解
第八章 安楽死と尊厳死の是々非々
第九章 上手な最期を迎えるには

目次

はじめに
第一章 死の実際を見る、心にゆとりを持って
死を見る機会 死の判定とは 死のポイント・オブ・ノーリターン 看取りの作法 死に際して行う「儀式」 死には三つの種類がある 脳死のダブルスタンダード
第二章 さまざまな死のパターン
はじめての看取り 悲惨な延命治療 延命治療はいらないと言う人へ 延命治療で助かることも 江戸時代のような看取り 在宅での看取りの失敗例 望ましい看取り 在宅での看取りに不安とハードル 死を受け入れることの効用
第三章 海外の「死」見聞録
人生における偶然 外務省に医務官に転職 サウジアラビア人外科部長との対話 イエメンの死の悼み方 ウィーン「死の肖像展」 死に親しむ街ウィーン オーストリアのがん告知 後進性故に進んでいたハンガリーの終末期医療 「死を受け入れやすい国民性」パプアニューギニア 進んだ医療がもたらす不安 呪術医が知る死に時
第四章 死の恐怖とは何か
人はどんなことにも慣れる 15歳男子の悩み 死ねないことの恐怖 それでも怖いものは怖い 死の恐怖は幻影 死戦期の苦しみは
第五章 死に目に会うことの意味
死に目に間に合わせるための非道 非道な蘇生処置の理由 「先生、遅かったぁ」という叫び 「エンゼルケア」という欺瞞 看取りのときの誤解 死に目に会わせてあげたかったことも 死に目より大事なもの 死に目を重視することの弊害
第六章 不愉快な事実は伝えないメディア
ウソは報じないけれど、都合の悪いことは伝えない 人生百年時代の意味 「ピンピンコロリ」を実践するには 達人の最期富士正晴氏の場合 人気の死因、一位はがん がんで死ぬことの効用 私の希望する死因
第七章 がんに関する世間の誤解
余命の意味 新戦略=がんとの共存 がんの治癒判定の誤解 日本でがんの告知ができるようになった理由 誤解を与えるがんの用語 否定しにくい「がんもどき理論」 がんの診断は人相判断? タブーの疑問
第八章 安楽死と尊厳死の是々非々
安楽死と尊厳死のちがい 賛成派と反対派の言い分 安楽死・尊厳死に潜む弊害 海外の安楽死事情 ウィーンの病院で起きた慈悲殺人事件 日本での安楽死・尊厳死事件 タマムシ色の四要件 安楽死法は安楽死禁止法にもなり得る 安楽死ならぬ苦悶死の現実 思いがけないことが起こる本番の死 人間関係による発覚 画期的だったNHKのドキュメンタリー 番組には強い反発が
第九章 上手な最期を迎えるには
上手な最期とは何か 病院死より在宅死 メメント・モリの効用 ACP=最期に向けての事前準備 「人生会議」ポスターの失敗 救急車を呼ぶべきか否か 胃ろうの是非「新・老人力」のすすめ コロナ禍で露呈した安心への渇望 求めない力 最後は自己肯定と感謝の気持ち
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

318
久坂部 羊は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 医師ならではの著者がリアルに書いた死に纏わる医療エッセイ、新鮮味はあまりありませんでしたが、両親の死が近づいている私にとっては参考になりました。 https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/97840652771952022/06/04

いつでも母さん

198
非常に読みやすい。頷く箇所が多々あった。現役医師でもある久坂部さんならではの視点からだがしっくりくる。そして、私も斯くありたい。親を看取る世代の私だが、自分の死も頭の隅にあって・・夫や息子が迷わぬように悩まぬようにと思っている。久坂部さんの小説で幾つも気付かされる事もあったのは事実だが、いざとなると割り切れたり納得できるかは難しいところではある。親戚やら善意の知り合いの言葉に翻弄されたりもするだろう。社会全体で【尊厳死】に取り組む時はとっくに来てると思うのだが・・どう死ぬのかは、どう生きたいかでもある。2022/04/19

trazom

187
死に関する哲学的な考察かと思いきや、久坂部さんは、医師/小説家としての醒めた目で、現象として死を捉えている。タブーに鋭く切り込む言葉が連発する:蘇生処置というパフォーマンス、エンゼルケアという欺瞞、「普段」より「死に目」を大切にする本末転倒など。更に、激しい苦痛に苛まれながら死ぬに死ねない状態で時間を長引かせる下手な最期を迎えないために、「高度な医療は受けない方がいい」「医療は死に対して無力」とは過激だ。日本人の死生観を歪めているのが、「生の無条件肯定と死の絶対否定」という心性であることを納得する。2023/06/13

yumimiy

168
人はどう死ぬのか_そりゃ人それぞれだろうと思いつつ_以前受けた死の受容プロセスという講義内容を思い出す。否認→怒り→取引→抑鬱→受容、この受容時どこに居るかが問題。自宅か病院か施設か樹海か。自宅で静かに死にたいのに家族が動転し救急車を呼び病院でいらぬ延命治療で苦痛増々ケースもあると。ちょっと笑えるのが作者のお父様、いい人生だったと家族に伝えるもお母様はそうですねとは言わなかった。個人的に一番の興味は安楽死、有名なのはオランダ。それ以前にスイスは医師による自殺幇助がOKとは驚いた。さて、自分はどう死ぬのかな2022/12/11

mukimi

140
私も医者として社会を知るのと同時に患者さん達に死を教えてもらってきた。死について軽々しいことは言えず感想は難しい。本書では生を終えた後の状態ではなく「働く」「走る」みたいな動詞としての「死ぬ」について述べられる。もう生きられない時どう人生を終えるのか。どう苦しみを受け入れるのか。死ぬに死ねない苦しみや尊厳死などの問題にはまだ立ち向かえないが、死についての読書は不思議と心を穏やかにしてくれた。死について常日頃から考えておくことは、周りの人を大切にし今日の健康に感謝してより良く生きることに繋がると私も思う。2022/12/31

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