内容説明
酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukision
79
以前から気になっていた小説でもある,初チャンドラー。長い読書でもあったけど,その分読み終わった後の心地よい余韻がいつまでも残る。酔いつぶれたテリーを偶然助けた探偵,フィリップ・マーロウは,その新しい友人のために見返りを求めることなく,信念に基づいて事件を追っていく。人間的にも魅力的な二人の人物の友情物語としてもとても楽しめた。2023/03/13
k5
69
清水俊二のレジェンド訳、村上春樹のメジャー訳があるところにもうひとつ加えるというのは大胆だな、と思いましたが、格調高い名訳だと思います。杉江松恋さんの解説が三つの翻訳の特徴をみごとに捉えていてわかりやすく、三つ並べて何度でも読みたくなります。さて、過去には男の友情に痺れまくって読んでましたが、夫婦の物語と思って読むと、かなりなゴシップ小説ですね。この時代のアメリカの繁栄と退廃の空気って、以後の世界ではなかなか現れないのかな、と思っていて、「同時代としてのチャンドラー」のような観点で読み直したいです。2025/06/22
ちゅんさん
63
素晴らしかった。これぞ小説を読む幸せ!存分に味あわせてもらいました。初めて読んだチャンドラー作品の『大いなる眠り』はマーロウの喋りがカッコよくでもそれ以外は正直凡庸に感じた。でもこちらはストーリーも面白く登場人物も魅力的でマーロウはさらにカッコよくて読み終えるのが惜しかった。おそらく訳もとてもいいと思う。こんなに遅読で良かったと思ったことはない、最高でした。2022/10/08
kei-zu
41
名著の新訳。少しずつ読み進めたため、時間がかかってしまった。清水訳や村上訳と若干違った雰囲気。読みやすい。お話しが面白いのはもちろんなので、読み比べが楽しい。結構いいですよ、これ。2023/09/13
しゃお
38
田口俊樹氏による新訳で、いつ以来かぶりの再読。マーロウが何を感じ、何を思い、そして何のために動くのか。読み終えてこの痺れる感じに余韻浸りまくりです(笑)。ハードボイルドの名作を新訳で読みやすいだけで無く、事件の全体像も理解しやすくなっているようで、「ハードボイルドとはなんぞや」と思うハードボイルド未体験の人にもこれを機会に手に取って欲しいですね。ところで清水訳と比べようと思ったら我が家に見当たらない。どこいったのかなー(泣)2022/06/05