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内容説明
鎌倉幕府が滅亡したのは偶然が重なり合った結果だった。あるいは室町幕府は応仁の乱ののちも強かに存在感を発揮し続けていた――いずれも、最新の日本史研究で議論されている論点であり、従来の日本史の常識を覆す研究が近年次々と発表されている。本書では、新進気鋭の中世史研究者たちが、それら最新の学説を整理して二つの幕府の実像を明らかにする。巻末には、どちらの幕府が強かったかを議論する座談会を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
128
鎌倉と室町の両幕府については多くの本が出ているが、両者の制度や構造を比較検討するのは初の試みか。鎌倉が皇位継承に介入したり、義満が皇位簒奪を図っていたとする従来の説を別視点から否定したり、どちらも幕府が全国を支配していなかった実情は、強力な中央政府による一元的支配という現代の常識で過去を裁断する誤りを思い知らされる。また鎌倉は全盛期に偶然の要素で滅亡し、応仁・文明の乱後も室町権力は衰えながら存続し得たとの見方は、政権崩壊理由を簡単に説明することの危険性を示す。躍動的に展開する中世史の最新研究は実に面白い。2022/11/26
みこ
35
最近なにかと話題の室町幕府と今年話題の鎌倉幕府を比較することでその支配体制を論じる。最後の得宗である高時の時代まで比較的安定政権だった鎌倉幕府がなぜ滅びたのか。応仁の乱以降グダグダでどの将軍も軒並み家臣から追放されている室町幕府がなぜ滅びなかったのかという論点が興味を引いた。あと多分両幕府に対する様々な誤解はほぼ徳川幕府のイメージのせいだと思う。2022/04/07
kk
34
図書館本。タイトルこそ『鎌倉幕府と室町幕府』ではありますが、元々の編集意図は、鎌倉幕府と対比させながら、最近の室町幕府研究の成果と動向を整理する点にあった模様です。いずれの章もざっくりと分かりやすい記述ぶりで、関連分野への知識欲を唆られました。内容面で印象的だったのは、鎌倉幕府滅亡の原因については、いまだ学会での議論が決着を見ていないという点。言われてみれば不思議な展開ではありますね。2023/11/02
サケ太
32
帯の文句に「どういう比較をするつもりなのか」「最強とは」という疑問が浮かんだが。鎌倉幕府や室町幕府のそれぞれの特性、制度、あり方の違い。つまりは、朝廷関係や守護、大名の役割。勿論、鎌倉幕府も室町幕府も始まりは違うし、その役割を徐々に変えていった部分もある。中でも、「鎌倉幕府はなぜ滅びたのか」、「室町幕府はなぜ滅びなかったのか」というのは興味深い。盤石なまま亡びた鎌倉幕府。様々な問題を抱えながらもしなやかに存属した室町幕府。こういう比較の仕方も面白いと感じた。2022/04/18
ほうすう
25
ここ三十年の中世史研究、鎌倉幕府・室町幕府研究の研究史がちょうどよくまとまっている。個人的には鎌倉室町ともに守護の在り方をめぐる研究の流れが興味深かった。過去の研究を乗り越えることの大切さと、それと同時に逆説的に今谷明と佐藤進一の偉大さも痛感させられた。2022/03/29
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