内容説明
「きたないものがきらいなきれいなおかあさん」「花言葉で未来を占う華子」「同窓会で自分の名前を思い出せない佐々木さん」・・・・・・。壊れゆく日常のすきまから世界はねじれ始める――。過剰な愛と死への欲望に取り付かれた女たちが紡ぐ、狂おしいまでに悲しく美しい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
189
久々で鳥居みゆきさんの作品読みました！以前『余った傘はありません』を読んでブラックで面白い世界にびっくりしましたがこの作品もまさに鳥居みゆきさんワールド♪装丁も中も真っ黒でとても怖い！黒い紙に白い文字で凝ってて面白い！独特で狂気を感じる散文のような短編集。一気に怪しく不穏な世界に引きずり込まれてしまう。ブラックでシュールで怖いのにどんどん読み進めてしまう不思議な魅力のある作品。読んでいくと色々リンクしていることがわかり最後まで読むとまたパラパラと最初に戻って確認したくなる感じ！鳥居みゆきさんスゴイ‼︎2018/01/04
青蓮
109
読友さんの感想から。ブラックユーモアに満ちたとてもシュールな世界。不思議な騙し絵を見てるようでした。この世界観、好きです。黒紙に白文字というのも作品の雰囲気にあっていると思います。鳥居みゆきさんの他の作品も読んでみたいです。2016/01/05
かりさ
98
鳥居みゆきさんの独特過ぎる感性が色濃く溺れるように溢れる散文のような短編集。狂気に満ちたその世界は、装丁とページを染める闇色と冒頭の置き石のスリル感と…見事に引き込まれました。全てに繋がる孤独さが生み出す危うい精神の形が、怖さというよりも哀れでもの悲しい。ラスト、嗚呼もうすぐ終わる…と油断していたらその衝撃の仕掛けにひゃぁ！と悲鳴をあげました。素晴らしい。早くまた鳥居ワールドに溺れたい。『夜にはずっと深い夜を』タイトルが何よりも秀逸です。2016/04/05
いこ
97
短編または詩のようなものからなる23編。そのほとんど全部が、悲しみ、絶望、狂気に彩られた女の一人語り。語られれば語られる程、危うい狂気がどんどんエスカレートしていく。黒の地に白い文字。赤の地に黒い文字。あちらこちらに「死」を感じさせる言葉。あぁ、頭がどうにかなりそう。誰か助けてー。怖いよー。怖いといっても「バケモノ出てくる系」の怖さではない。バケモノより怖いのは人間の心の中。何が一番怖いかって、自分も夜中に同じような一人語りをよくしていることだ。自分の語りにも変なオチがつきそうで、それがとっても怖い。2023/08/04
スカラベ
64
この本・・クセが凄い！病んだ女の孤独な狂気を描く突飛な鳥居みゆきワールドを堪能できる。小説というより呟きや詩のようなもので構成された短編集。合間に６つの妄想日記が挟まれこれまた奇抜。でも不思議と納得感のあるシュールさ。黒いページに白い文字、文字が大きくなったり小さくなったりと不安定感、言葉遊びやふっと笑える要素も散りばめられ、実験的な短編集という様相も呈する。それぞれが発散していると思いきや・・用意周到な連鎖が仕掛けられている。敢えて危険な言葉を使うなら、もっと読みたいと思わせる中毒性のある麻薬のようだ。2017/01/12
