「コミックス」のメディア史 - モノとしての戦後マンガとその行方

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「コミックス」のメディア史 - モノとしての戦後マンガとその行方

  • 著者名:山森宙史
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  • 青弓社(2022/03発売)
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  • ISBN:9784787234605

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内容説明

雑誌と並ぶ日本のマンガの代表的形態であるコミックス。

マンガをめぐる紙から電子への流れが加速する一方で、コミックスでマンガを楽しむ読者は現在も多い。そもそもマンガはコミックスという出版メディアとどう出合い、コミックスはいかにして私たちの日常生活に溶け込んでいったのだろうか。

原型になった新書判の登場、雑誌の再録媒体という位置づけの獲得、書籍扱いである文庫とA5判の展開など、1960年代以降のコミックスの歩みをたどり、書店のコーナーができあがりマンガ専門店が登場する風景も掘り起こす。また、コミックス派を自任したり、美本を求めてコレクションしたり、古書店で売買したりするなど、読者がモノとしてコミックスをどう扱ってきたのかも描き出す。

生産・流通・消費の視点から、コミックスの「モノとしての認識枠組み」が成立し変容するプロセスを解き明かし、現在のデジタル環境を踏まえた「メディアとしてのマンガ」への新たなアプローチを提示する。

目次

はじめに

序 章 マンガ研究と「コミックス」
 1 不問領域としての「コミックス」
 2 「メディア論的マンガ論」の系譜
 3 メディア論的言説空間と「雑誌中心主義」
 4 「コミックス」から問うということ
 5 「メディア特性」から「メディア観」を問う視座へ
 6 メディア認識と「モノ」の枠組み
 7 モノと交差する「とき」と「場」――一九七〇年代以降の出版産業空間への着目
 8 本書の構成

第1章 「単行本」とコミックス――初期新書判コミックスの成立まで
 1 「コミックス」前史
 2 「コミックス」の誕生

第2章 「雑誌」とコミックス――〈雑誌-コミックス〉体制の確立とその帰結
 1 貸本マンガと新書判コミックス
 2 「雑誌メディア」としての新書判コミックスの確立
 3 非-雑誌メディアとしてのコミックス

第3章 「書籍」とコミックス――マンガ文庫とA5判漫画単行本に見るマンガの「書籍性」
 1 コミックスと「文庫」
 2 「マンガ文庫」から「文庫判コミックス」へ
 3 A5判をめぐる「書籍」と「コミックス」の境界

第4章 「本屋」とコミックス――「コミックコーナー」の社会史
 1 常設「コミックコーナー」ができるまで
 2 常設コーナーの全国的拡大
 3 書店が形作る「モノ」としての枠組み
 4 コミックスが産出する空間

第5章 「読者」とコミックス――コミックスが生み出す「モノとしてのマンガ経験」
 1 初期新書判コミックスと読者の関わり――一九六〇―七〇年代
 2 コミックスと「オタク」的なるもの
 3 「コミックス派」の台頭
 4 モノとしての「マンガ」経験

終 章 「メディアとしてのマンガ」の行方
 1 コミックスからみる「メディアとしてのマンガ」
 2 「メディアとしてのマンガ」の「コミックス」性

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

65
雑誌でマンガを読む場合、読めなかった号の分はストーリーが飛ぶ。その欠落を救った存在が、コミックスつまり単行本。ギャグは1回で完結するが、ストーリーマンガだと欠落は必然。子どもが手軽に雑誌も買えなかった時代、友人との回し読みでも補完できない部分をコミックスが補った意味は大きい。やがては雑誌と、モノ・媒体としての関係を大きく変化させ、アニメブームやビデオ、現在ならデジタル配信など、担うメディアも遷移していく。徹底してマンガの内容ではなく、モノにこだわった論考は実におもしろく、今までになかった視点だと思う。2020/01/01

アナクマ

25
コミックスとは一体どのような出版物なのか。いろいろ難しかった。後書きに曰く「マンガをメディア論的に問うとは、不透明さを認識する経験。世界の入り口にようやく立ったというところ」今後に期待です。◉2005年、紙のコミックスがマンガ雑誌の売り上げを追い越す。そして2017年、電子コミックスが紙のコミックスの売り上げを上回る。 ◉(さわや書店伊藤店長、上京時の回想)岩手にいたときには遠い存在でしかなかったコミックスがすぐに手が届くところにあるせいで、バイトしたお金はコミックと本に注ぎ込む生活になった(p.229)2020/02/08

きいち

22
マンガを論じるなら、それが「モノ」としてどんなふうに成り立っているのか考えなアカンやろ、と、著者はこれまでなおざりにされてきた「コミックス」≒単行本としての存在に注目。赤本以来の歴史を追う。単行本派になって長い自分には雑誌が主だった時代は新鮮。◇この本ではストイックにナカミに踏み込まないのでその先は読み手の仕事ということか。単行本で読む体験は雑誌でのそれとは違う。単行本なら同じ作者の同じ作品に集中できるし、マンガの場合読むのが速いぶん途切れないから没入は深くなる。考えるとおもろいな。2019/12/31

古戸圭一朗

3
本書では従来のマンガ研究で見過ごされてきたマンガの「モノ」としての側面に光を当てる。我々が所与のものとして受け入れているコミックスという出版物がどのように成立してきたのかを紐解くため、「書籍」「雑誌」といった既存の出版カテゴリーとせめぎ合い、コミックスが自律していく過程を丹念に追う。特に面白かったのは後半で、例えば書店のコミックコーナーの歴史を扱った4章では、書店によってコミックスが「商品」としての位置を与えられるだけでなく、コミックスが書店の意義や役割を再編成する「モノ」となった側面を描き出している。2020/01/18

ゆーや

2
「本屋」とコミックスの章がおもしろかった2022/03/24

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