内容説明
児童虐待に対応する支援者には,児童虐待との闘いに加えて自分自身との闘いが待っている。増加する通告件数,求められる迅速な対応,悲惨な結末の防止を願う期待の中で,正確なリスクアセスメントと効果的な介入・ケアを選択する/し続けるためには,勘に頼らず思い込みを排して,自らの実践のエビデンスを追求する必要がある。
児童虐待はどこまで研究されているか。児童虐待の基本データ,児童相談所をはじめとする機関の役割とそれを支える法制度,児童虐待のリスクファクターとリスクアセスメントをめぐる論争,段階に沿った効果的な介入,虐待が子どもの成長に及ぼす影響,児童福祉施設に入所した子どもへの効果的なケア。それぞれの検討を通して本書が提示するのは,データをもとに支援者が自らの実践の根拠を携えるための「児童虐待と闘う科学」である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろか
12
原田先生らしく、エビデンス、エビデンス。 児相の問題もあるけど、犯罪者へに処遇も同じであるが、社会の側があまりにも感情的すぎるというか、多様な意見がないので、現場ばかりが苦しく思ってしまう。2020/10/24
marcy
3
想定読者は児童虐待と接点がある人々ーー児相はじめ自治体職員や学校教員、民生委員・児童委員ーーとみられる。読むにつれ、現状の虐待対応が「被虐待児の利益優先」になっていないことに対する執筆陣の強い問題意識と懸念が伝わってきた。児童養護施設も児相も経験年数の少ない職員がかなりの割合を占めるため、十分な知見に基づく専門的な対応が期待しづらい現状がある。しつけ名目含め子供へのあらゆる暴力は容認されないという強い社会的コンセンサスと、育児に悩む大人たちを徹底的にサポートすることしか、子供の被害は減らさないのでは。2022/04/05




