内容説明
統合失調症は,決して珍しい病気ではない(生涯罹患率は〇・三〇~二・〇パーセントである)。統合失調症者とは,どのような人たちであるのか? 彼らの人格上の特徴を統一的に把握することはできないものであろうか。
統合失調症でみられる行動特性の背景には何があるのか? 本書は,初版刊行以来「統合失調症」の行動特性・症状論の名著としてロングセラーを続けている。今回(第三版)では,「(統合失調症)告知に関する私の考え」を新たに収録した。
さらに本書における理論的展開としての統合失調症の臨床精神病理学は,限りない深奥な内容をもちながらこのうえも無く明快である。著者は,オープンダイアローグや脳科学の最新知見,ウィークネスモデルからストレングスモデルへの切り替え,わが国の精神科クリニックの増加による早期発見―早期治療―早期改善の流れも踏まえ,臨床現場で活かすための実践的な「行動特性」「認知特性」の知見を提示する。その一方「ハイデガーの現存在分析論」を的確に援用し,読み替えながら,現場における統合失調症の臨床精神病理学をわかりやすく説く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベビーヨーダ
1
【TDM T教授推薦】 Szとは、3歳までに関連機能が構築されなかった人々。 防衛機制=物事を二項対立に単純化したり、自閉傾向になったり、世界が崩壊した不安感ゆえに妄想気分などで意味づけする。 フィルター機能がない。全体を把握して段取りできない。時間性の障害ゆえに短絡的(⇨一瞬で自殺する)、同じ失敗を繰り返す。 曖昧が苦手。唐突な会話。緊張状態。脱中心化の困難さ。視点変更の困難さ。述語優位の論理。 「正常」を求めるのではなく、様樣なハンデをもつ人を受け入れる社会であるべきである。 何度も立ち返りたい本。2021/08/21