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内容説明
『古事記』『日本書紀』で天孫降臨の舞台として語られる高千穂。神話の高千穂では実際の「どこ」がイメージされていたのかは、江戸時代以来、多くの学者により論争されてきた。そして、明治維新以降、国家主義的気運の高まりの中で、さまざまな思惑から、「神話的空間」を実在の地名に「現実化」しようとして奔走する人々が現れた。 宮崎県と鹿児島県の対立。紀元前2600年を記念した文部省の聖蹟調査、そして宮崎県の「八紘一宇基柱」の建設。そして敗戦。「国家の始原」という「幻想」に駆り立てられた人々は、その必然の成り行きとして「幻滅」し、その結果、戦後の日本においては、高千穂の「物語」は語られなくなった、と著者は論ずる。 本書は、前著『王権の海』(角川選書)で、古代日本の形成過程と高千穂の関わりを読み解いた著者が、近代日本の国家主義の象徴的風景として高千穂像を、歴史地理学における風景論の立場から、描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
高千穂とはどこなのか。近世の国学者たちから近代までの論争を踏まえつつ、昭和十五年の宮崎県議会での騒動まで論ずる。昭和十五年の聖蹟顕彰に宮崎神宮が選ばれなかったことに県議会議員は知事を追求する。「高千穂宮を宮崎とすることが実現しなかったために宮崎県側の失望は大き」かったからだ。。さて昭和十三年にヒトラーユーゲント次長のシュルツェも宮崎県を訪問していたようだが、来日時、在日ナチスもかなり歓迎したらしい。本書の内容とはズレるが、彼らは戦後どうなったのだろう。それについての研究書はあるのか気になる所ではある。2020/04/11
★★★★★
3
天孫降臨の地、高千穂をめぐる政治と感情。実体のない起源の場所が、国民国家と地方政治の文脈で現実の土地に比定されてゆき、さらに戦争によってその意味がドラスティックに変換される、そうしたプロセスが考察されています。幻想の風景が現実に転化したといいつつ高千穂峰が記紀のそれであると主張していたり、なんとなく著者の立場に一貫性がない印象を受けたけれど、新書としてはなかなか面白かった。2010/08/12
KJ
2
「高千穂」この言葉から連想されるものは何か。「神々のふるさと」これも幻想的で美しい高千穂の一側面だろう。ただ忘れてはならないのが、戦前において「高千穂」が果たした意味。日本の起源であるというイメージが、国家主義・軍国主義の象徴として捉えられたという事。高千穂への強い想い故に、国家主義の先鋒となった宮崎県。そしてそれが「八紘之基柱」として具現化していく過程は、非常に興味深いものだった。人は幻想を現実化する衝動に駆られ、やがてそれに幻滅していく。高千穂を題材に、幻想に対峙する人間のあり様が見事に描かれていた。2014/11/20
可兒
0
高千穂神社に行って『幻想』を観光ガイドで聞かされてきた身としては、ふーんとしか言えない2013/09/12
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