内容説明
「喪失と再生」を描き続けてきた作家による「旅と日常」を描いたエッセイ・アンソロジーのシリーズ第4弾。
著者は、日々見逃しがちな、ちいさいけれど大切なことを、旅先での出会いや食事、その背景にある文化、植物や動物を育てること、その動植物を食べることで生きている私たちの生活といったもののなかに見出し、エッセイに仕立てて提示する。バリ島の屋台に見た昭和の日本、心身ともに癒された奄美のひとと海。コロナ禍で「自分が罹患しやしないか」しか考えないひとの内面を考察したかと思えば、冷蔵庫に「家事の分担表」を貼っているカップルがなぜうまくいかないのかを一言で言いきり、タピオカ店や喫茶店のプロの技を省察する。そして、亡くなってしまった大切なひとたちへの思いを、その不在を嘆くのではなく、ともに過ごした時間こそが宝ものだとして、前を向いて生きてゆくことのすばらしさを綴る--。旅でも、日常でも、コロナ禍に見舞われても、著者のまなざしと態度はあくまでも同時代的で、やさしく、鋭い。
そんなエッセイをひとつずつ読み進むと、同じ時を生きる著者が、自らの経験を通じて読み手を勇気づけていることに気づく。各章が上質な短篇小説の趣をもつ、著者最新のエッセイ集。シリーズ累計7万部!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
166
吉本ばななは、新作中心に読んでいる作家です。エッセイ「人生の旅をゆく」シリーズは、初読です。著者の「ビールは神」に賛同します。真夏の暑い日の夜、喉をカラカラにして呑むキンキンに冷えた一杯目のビールは最高で~す🍺 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000057212022.html 2022/03/11
mukimi
100
ばななさんの文章を読むと視界に彩りが戻る。人間関係についての豊かな考えが響いた。この人にどう思われたいじゃなくて、今だからこの形になったその時々の関係で人生のひと時を共有すれば良い、と思えば気楽に人と関われそうな気がする。大切な人を愛おしく思う時思い出される瞬間ってちょっとカッコ悪くてぎこちない瞬間なんだよなーと思っていたけどそれを「不器用とか無骨というものの凄みと良さ」と表現してくれて嬉しくなった。ばななさんはいつも、幼い頃から私の中に時々雪崩のように起こるセンチメンタルを代弁し包みこんでくれる。2025/02/08
こまり
32
シリーズものだけれど、初めて読んだ。日常のちょっとしたことを書きつつ、結構深いところまてで踏み込んでしまうのがばななさんらしい。読んでいて自分の心が浄化されるような感じになる。(すぐ戻ってしまうけど…。)「君に会えて、君がこの世にいてくれてよかった」森博嗣さんとの出会い方はすごいな。読んでる私まで嬉しくなる。また、悩み深い人はどうしてそうなるのか、自分のことばかり考えているからだ…そんな考察に何だかハッとする。★私も愛用してるNAOTの靴の話も出てきてちょっと嬉しくなった。2022/04/16
水色系
27
このシリーズ、初読み。年齢を重ねていくと、よかったあの頃には戻れないと考えたり、辛い別れを経験したり、そういうことがどんどん増えてくるような気がして、正直生きること自体がこわいと思うことがある。でも、吉本ばななさんのように、動物や他人のやさしさに感謝し、思い出を宝物とし、生きていくことができれば、それが少しの心がけでも、人生はより豊かになるのかもしれない。2022/04/23
スリカータ
26
ばななさんの小説は殆ど読んだことが無いのに、対談やエッセイは結構読んでいる。本書は分厚いエッセイ。いつも身近にペットがいて、自然の息吹を感じ、下町の人間関係の心地よさを感じ、身の回り3mの幸せを大切に温めているような暮らし。空港トラブルでカッとなって蹴ったら相手が態度を変えたというのは、苦手なタイプかも…と思ったけど、考え方に共感するところもある。全てにおいて合う人はいないのだから。息子さんがいつの間にか大人になっていた。つい最近まで赤ちゃんだったのに、他人の子の成長は早いものだなぁ。2022/07/19
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