私はイスラム教徒でフェミニスト

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私はイスラム教徒でフェミニスト

  • ISBN:9784560098592

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内容説明

コーランにもとづく、「服従」しないための療法。

フェミニストでありながら、イスラムのスカーフを被ること─。これは、スカーフを女性差別の象徴としてみなす西洋のフェミニストたちに理解されにくく、議論の的となってきました。でも、それが、ナディア・エル・ブガの流儀です。宗教に敬虔であることとフェミニストであることは、矛盾しません。
イスラムというと女性蔑視の因習的な宗教という先入観や、テロと短絡的に結びつける傾向もあるでしょう。そんな誤解や偏見は、イスラム法を学んで、モスクで講和を行なう専門知識をそなえたナディアが、丁寧にときほぐします。
この本は、イスラムの聖典をひもときながら男女平等を説き、セクシュアリテの封印を解く、フランスで人気の性科学医(セクソローグ)による自伝的エッセイです。
セックスやジェンダーに悩むひとに、コーランにもとづく、「服従」しないための療法を!
診療室をおとずれる多様性をかかえた患者の生に寄りそってきた著者ならではのアドバイスや語り口は、どれも魅力的で、イスラム文化のみならず性教育に関心を持つ読者にも有意義。日本の読者へのメッセージ「コロナ禍を経て、伝えたいこと。」も収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

29
こういう本を待っていた。差別されているといわれるにもかかわらず、イスラムの女性の生の声は力強く知性にあふれ、真の意味で宗教的。なぜスカーフをかぶるかの問に、他者の視線から身を守るためではなく、神と直に接するためだという著者は、大事にするように神から託された肉体なのだから、自分の体も他人の体もいとおしむ、そこが性的関係の出発点だという。男性本位の解釈で歪められてきたコーランの著者による再解釈は目からうろこ。イスラム化される以前のモロッコのベルベル人の自由な発想がそのような再解釈を可能にしたのかもしれない。2021/10/14

よきし

13
イスラム教徒として生きることとフェミニストとして生きることは矛盾しないとするフランスのモロッコ系移民の助産師でセクシュアリテのナディアさんのエッセイ。特にイスラム教が家父長制的解釈で誤読されてきた伝統を踏まえて、現代的に読み直していくことで本来のイスラムの教えを掘り起こしていくという視点は、本田哲郎さんの『釜ヶ崎と福音』のキリスト教読み直しを思い出して、どの宗教も支配の道具として歪められていくのだと改めて痛感した。内藤さんや中田さんのイスラム本より地に足が着いている感じですごく好印象な一冊だった。2022/12/15

templecity

12
モロッコ出身でフランスで生活する助産師の著者。イスラムでは女性は道具のように扱われている。コーランを誤った解釈をしていることもあるが、性知識も誤った知識が教えられている。フランスでも議論になったスカーフの扱いもその1つ。女性は自分の性器のことのよく知らず、体位に対する誤った知識もある。助産師であるが故に、患者の誤った知識に触れる機会もある。フェミニストとして女性解放を訴えている。2021/11/13

Jessica

4
パリ在住のモロッコ系フランス人の産婦人科/セクソローグ(性科学医)である筆者による自伝であり、患者の診察記録でもあります。自身のルーツであるアラブ諸国の家父長制を批判しつつも、西洋中心的なフェミニズムにも距離をおく、自分自身の信仰を持つ彼女。コーランを丁寧に再解釈しながら、女性の悩みに寄り添い、例えば中絶に対しては「顧客の自己決定権、決断に寄り添うことが自身の仕事」と医者として使命を全うする姿が清々しく、きっとパリにいたら楽しく彼女のラジオを聴いていたのだろうなと思います。2023/08/23

あみちゃんこ♀

2
かなり面白い。モロッコ人でパリ育ち、性科学医である筆者。熱心なイスラム教徒でフェミニストでもある。本来コーランは男尊女卑を説いていない、と言うのが筆者の主張。 性の話、温かな家庭の話もあり、没頭せずにいられなかった。

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