筑摩選書<br> 横浜中華街 ――世界に誇るチャイナタウンの地理・歴史

個数:1
紙書籍版価格
¥1,870
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

筑摩選書
横浜中華街 ――世界に誇るチャイナタウンの地理・歴史

  • 著者名:山下清海【著者】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 筑摩書房(2022/02発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 420pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480017420

ファイル: /

内容説明

日本有数の観光地、横浜中華街。この街はどのようにしてでき、なぜ人びとに愛されるようになったのか。1859年の横浜開港、「南京町」の形成、関東大震災や横浜大空襲での壊滅、戦後のヤミ市や外国人バー街の時代、観光地としての成長、新華僑の到来……。世界中のチャイナタウンに足を運び研究してきた地理学者が、この街の地形や歴史を解説し、世界的にもユニークな特徴を明らかにする。

目次

はじめに
序章 横浜中華街を歩く
タモリが喜ぶ「高低差」
山下公園から横浜中華街へ
横浜中華街へ「下る」
低湿地に形成された横浜中華街
Ⅰ 「南京町」から「中華街」へ──形成・伝統・ヤミ市
第一章 もとは入江だった横浜中華街──横浜開港と南京町の形成
1 横浜開港と外国人居留地
横浜中華街、四五度のナゾ
外国人居留地の形成
2 中国人の来港と南京町の形成
中国人の横浜来港
外国人居留地の中に形成された南京町
増加する華僑
外国人居留地での華僑の生活
第二章 外国人居留地廃止後の南京町──一八九九~一九四五年
1 外国人居留地の廃止
日本人との雑居が進む南京町
中国料理店の外国人居留地外への進出
孫文の南京町での亡命生活
2 関東大震災と横浜大空襲の惨事
関東大震災で灰塵に帰す
震災時の華僑虐殺と南京町
日中戦争で華僑は「敵性国民」へ
戦時中の南京町と華僑
横浜大空襲で再び壊滅
第三章 伝統的華僑社会の特色
1 華僑の血縁・地縁的社会
華僑は中国のどこから来たのか
最大のグループ、広東人
三江人、福建人、および台湾人
華僑の団体組織──中華会館、同郷会
2 華僑の伝統的職業
南京町の華僑の商店
「三把刀業」──華僑の伝統的職業
料理飲食業
洋服仕立業
理髪業
籐椅子製造と周ピアノ
3 華僑の教育と伝統的生活
大同学校──華僑学校の設立
落葉帰根──華僑の伝統的生活様式
第四章 ヤミ市、「外人バー」街、そして観光地へ
1 ヤミ市から始まった復興
アメリカ軍による接収を免れた南京町
ヤミ市誕生
港ヨコハマのマドロス酒場街へ
「外人バー」街としての南京町
2 「南京町」から「中華街」へ
中華街のシンボル、牌楼の建設
アクション映画のロケ地
外人バーの衰退
中華街にもあった映画館──新光映画劇場
Ⅱ 変わり続ける街──対立・観光・新華僑
第五章 華僑社会の分裂──二つの中国の狭間で
1 政治的対立の最前線
祖国建設のための「帰国」
中華学校の分裂──学校事件
2 大陸支持か、台湾支持か
台湾派華僑総会への襲撃事件
困難なフィールドワーク
国慶節と双十節──五星紅旗と青天白日旗
日本化が進む生活様式
第六章 人気観光地への急成長──中国ブーム・中華街ブーム・バブル経済
1 日中国交正常化と中国ブーム
脚光を浴びるモトマチ
日中国交正常化
台湾籍の帰化者増加
中国ブームの到来──変わる市場通り
2 旅行ブームでにぎわう横浜中華街
「ディスカバー・ジャパン」の効果
中華街ブームへ
3 バブル経済下の横浜中華街
ジャスミン茶から烏龍茶へ
店舗の新改築ラッシュ
一九八六年の横浜中華街──フィールドノートから
横浜中華街の料理の特色
バブル経済崩壊の影響
第七章 横浜中華街の再編成──老華僑と新華僑
1 小異を残して大同につく
一九八九年六月四日──天安門事件
関帝廟の火災と再建
「中華街には台湾海峡はない」──対立から協調へ
マンション建設計画から媽祖廟の新設へ
2 さらなる発展を目指して
中華街発展会の役割
牌楼の建て替え
3 減少する老華僑、増加する新華僑
新華僑の到来
ハングリーな福清出身の新華僑
職住分離の進展
新華僑が多く住む吉田地区
第八章 多様化と急変──変わり続ける街
1 多様化が進む横浜中華街
バブル経済崩壊後の変容──新華僑の開業の増加
中華街が抱える問題点
チャイハネの開業と南門シルクロード
非中国的店舗の進出──占い店の急増
占い以外の店も増えている
2 急変する横浜中華街
みなとみらい線開通に伴う変容
エスカレートする食べ放題の店
年間を通してのイベント開催
発展会の会員からみる業種構成の推移
Ⅲ 世界に誇れるチャイナタウン──未来に向かって
第九章 日本の中の横浜中華街
1 日本三大中華街のひとつ、横浜中華街
日本三大中華街
神戸の南京町の歴史的背景
南京町の再開発
震災から復興した南京町
長崎の中華街「新地」
長崎新地中華街の整備
2 新華僑がつくったニューチャイナタウン
池袋チャイナタウン──日本最初のニューチャイナタウン
西川口チャイナタウン──郊外型のニューチャイナタウン
第十章 世界の中の横浜中華街
1 世界各地のチャイナタウンと比べて
「桑港のチャイナ街」
牌楼からみる世界のチャイナタウン
規模からみる世界のチャイナタウン
2 横浜中華街をモデルにした仁川中華街
仁川のチャイナタウンの衰退
「仁川中華街」の誕生
終章 未来へ──これからの横浜中華街
1 今後の横浜中華街は──発展会、高橋伸昌理事長に聞く
これまでの横浜中華街
コロナ禍の横浜中華街
これからの横浜中華街
2 横浜中華街博物館の設立に向けて
海外のチャイナタウン博物館
横浜中華街にも博物館を
あとがき 参考文献 横浜中華街関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

120
中国には何度も行ったが、横浜中華街のような街は存在しない。日本人の中国イメージを形成してきたチャイナタウンが、実はディズニーランド的な夢の世界を演出しているだけと知った。日本に定住した華僑が生き抜くために苦心と努力を重ね、そのような街を1世紀半余の時をかけて創ってきたプロセスには文字通り血涙がにじんでいる。震災や戦災で何度も焼かれ、本国の政治的対立が波及して内部分裂するなど、日本人には想像できない苦難があったのだ。時々の経済や流行に翻弄されながら生き残ってきた街と人の歴史に、流浪の民の逞しさを強く感じた。2022/05/18

skunk_c

67
地理学者の手による横浜の中華街の成立から現在に至る変貌をコンパクトにまとめたもの。地理の専門家だけに、随所に適切な地図が挿入され、ぐっとわかりやすくなっている。自分が初めて中華街に行った1960年代後半から、大きく変化していく様子をたどることができた。写真も豊富で、p.154の1978年の中華大通りの写真など、懐かしすぎて涙が出そうだった(手前2軒の店はいずれも当時何度か食事をしたことがあった)。最近の新華僑の隆盛と老舗名店の閉店、神戸・長崎や海外の中華街との比較もあり、あっという間に読了した。2022/04/23

榊原 香織

62
チャイナタウン研究の専門家。 中華街、というのは日本語だそうです。 世界最大はニューヨークのマンハッタン。最も観光化されてるのは横浜の中華街。 池袋や西川口にはニューチャイナタウンができてるらしく、行って見たい2023/05/07

スプリント

16
横浜中華街の成り立ちと未来へ続く取り組みについて紹介しています。 出身地域ごとに派閥がありますがその変遷についても触れられています。2022/05/29

らっそ

11
地理学がどういう考え方をするのか、勉強になったが、地域史との違いはわからないまま/昔は横浜も「南京町」だった。コロナが落ち着いたら長崎の「新地」にも行ってみたい2022/04/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19008167
  • ご注意事項