内容説明
土埃だらけの服の下には、隠しきれない玉の肌と、美しい曲線。
海軍で輝かしい戦果を残した後に負傷して帰郷した、第10代ライブンホール伯爵マックスは、世を儚んでいた。ある日、領地を馬で駆けていると、奇妙なものが目に入った。男物のズボンに包まれた尻がもぞもぞ動き、しきりに何かを掘っている。何やつ、盗賊か? 鋭い声で呼び咎めると、男ははっと顔を上げた。眼鏡越しに見開いた大きな丸い目、麻のシャツの開いた胸元――女か?「伯爵さま、どうか怒らないで。古代遺物を発掘したいだけなんです」エフィは近くに住む天涯孤独の若い女性で、歴史が好きなのだと言う。失せろと命じたが、彼女は夜中にこっそり領地に入ってきているようだ。女性が夜に一人では危険だ! マックスはつい手を差し伸べてしまい――。
■新作家ヴァージニア・ヒースの登場です。傷ついた心身を持て余し隠遁する伯爵ヒーローと男装のヒロイン。女性として見られたことがないエフィにとって、恋愛や結婚は夢物語でした。でも伯爵は、彼女のズボン姿を好ましくさえ思っているようで……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アカツキ
11
厭世的なマックス伯爵は自領で穴を掘っているエフィに出会う。エフィは前領主から発掘の許可を得ていると言うが、マックスは許可を取り消すと断じて立ち去る。その後、マックスはきつく言い過ぎたと反省、夜中にエフィが領地で発掘作業をしているのを見て…。女性ゆえに考古学者として認められないエフィと戦争で負傷、元婚約者の裏切りに遭って領地に引きこもるマックスのロマンス。引きこもりたいマックスがエフィとマックス姉というパワフル女性陣にもみくちゃに振り回される話。エフィも相当苦労しているが、マックスの頑張りが強く感じた。2025/09/01
ユキタ
4
タイトルの男装がただ発掘作業のためズボンを履いてるだけだったのががっかり。だけど、優秀過ぎる脳のせいで男性に敬遠されることに落ち込みながらも古代遺跡の発掘に精力を傾ける三十路ちかいヒロインが、火傷のあとが残る顔と身体が原因で婚約者に逃げられて以来すっかり厭世的になってしまった伯爵ヒーローを発掘作業に引きずり込んでいく流れは明るく楽しくほのぼのとしていてストレスなく読めた。2025/12/07
aiko
3
お初作家さんですが好きな話でした。 遺跡発掘一筋で頭の回りすぎるヒロインと火傷をおい引きこもる元海軍軍人。 遺跡発掘もわくわくさせてくれるし、読み進めるにつれ共に劣等感に苛まれていた二人が共通の目的を持ち手を取り立ち上がっていく様が良いですね。2022/03/04




