内容説明
ムンクの言葉で新しい人生が目を覚ます。原田マハの名訳により待望の刊行。
懊悩と官能をつづった画家ムンクの『愛のぬけがら』。
生涯書き続けた創作ノートには、愛と死、人生がむきだしにしたためられていた。
旅先で見つけたこの一冊に震えが止まらなくなった大人気作家が、アートへの愛をこめて翻訳。
臆病なのに、取り返しのつかないことを繰り返してきた人生。道ならぬ恋の果て、相次ぐ家族の死・・・・・。
得体の知れない心の動きをエネルギーにした言葉たちは、読んだ人間の心を突き動かし、新しい人生を呼び込む。
「生きること」への恐怖と不安を、鮮烈な輝きに変化させるメッセージの数々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
240
ムンクが書き残した言葉の数々。芸術に真摯に向き合う意識、祖国ノルウェーや大御所芸術家や税金への嫌悪、女性への複雑な思い。原田マハさんの翻訳で、言葉が叫び出す。「話し言葉は、人間を騙し、混乱させ、裏切るために生み出された。一方、詩は、矛盾を映し出す鏡である。真実の断片をとらえ、それを映し出すために生み出された」「私のアートは告発だ。アートを通して世界との関係をはっきりさせたいのだ。言ってみれば、自己中心主義だ。しかし同時に、私のアートは、誰かが真理を追求するとき、白黒をはっきりさせる力になれるんじゃないか」2022/04/25
starbro
219
原田 マハは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。原田 マハが、ムンクの言葉を翻訳したということで読みました。「叫び」くらいしかムンクの作品を知りませんでしたが、画家でこんなにも言葉を残している人は珍しいかも知れません。作品の中では、「マドンナ」(表紙絵)が好いですね。 https://www.gentosha.co.jp/book/b14193.html2022/04/02
アキ
101
原田マハ訳のムンクの言葉。1889年25歳のムンクは、パリのテオの営む画商でゴッホの絵を見ていた可能性があるらしい。叫びに関する有名な一節も載っています。「ふたりの友人と道を歩いていた。日が沈みゆくそのせつな、突然、空が血の色に染まり、どこからか聞こえてきた叫び声が私の耳を貫いた」今年2022年10月オスロに単独アーティストの美術館としては世界最大級のムンク美術館が開館し、ムンクの筆跡も全て公開するそうです。建築はスペインの建築家フアン・ヘレロス氏。https://www.munchmuseet.no/2022/04/24
kaoru
84
ムンクの絵や写真と手紙・創作ノートなどからの抜粋。ノルウェー語から英語に翻訳したものを原田さんが日本語に訳したのだと思われる。題の『愛のぬけがら』とは”In good health I came to you Like a ghost I leave you"(うきうきと君に会いに来て、別れるときはぬけがらになっている)というムンクの言葉から。神経障害や女性との関係に悩みながら創作を続けた彼はゴッホに強く惹かれていた。彼の絵のなかでも私は<マドンナ>が一番好きである。理想化された様々な聖母像に異議を→2022/08/24
まちゃ
78
ムンクの創作ノート、日記や手紙を原田マハさんが翻訳、とのことで手にした一冊。エドヴァルド・ムンクのことは、代表作である「叫び」程度しか知りませんでした。画家の苦悩、愛や人生観など興味深い内容でした。絵とテキストを並べる構成も見やすくて良かったです。2022/03/16