創文社オンデマンド叢書<br> 帝国と慈善 ビザンツ

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創文社オンデマンド叢書
帝国と慈善 ビザンツ

  • 著者名:大月康弘【著】
  • 価格 ¥10,450(本体¥9,500)
  • 講談社(2022/02発売)
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内容説明

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【内容紹介・目次・著者略歴】
史上初のキリスト教帝国ビザンツ。普遍的なキリスト教ローマ理念は、多様な民族から成る世界に号令をかける皇帝のもと、集権的な富の収奪・再分配機構を構築した。神の恩寵としての慈善を実践する帝権。市民の旺盛な寄進行為。叢生する修道士。古代ポリスの寛厚は、帝国財政に包摂され、救済の摂理(オイコノミア)に基礎付けられた財の再分配原理を定立した。諸民族を包含する統合の範型を創った帝国は、後のキリスト教、イスラム両世界にとって一つの規範となり、現代にも甦る。近代西欧の合わせ鏡として、ネガティブ・イメージのもとに語られたビザンツ。その認識像に潜む近代人の自画像を検証しつつ、今日世界に伏流する帝国の文法を、源流に遡って解きほぐす。帝国とは何か、を考える上で貴重な参照系となろう。日経・経済図書文化賞受賞。

【目次より】
序論 「帝国」の原像ヘ ビザンツ国家の射程
一 歴史の律動のなかで 二 ビザンツ国家の帝国性 三 本書のねらいと構成
第一部 帝国教会の財産形成
第一章 キリスト教帝国と教会 教会の税制特権形成
第二章 教会寄進と国家権力 五・六世紀の法制化
第二部 寄進・慈善・国家権力
第三章 マリアの遺言と帝国役人 貴族の遺言執行と国家機構
第四章 アッタレイアテスの家産政策 慈善施設設立の理念と打算
第五章 ヨハネスニ世と帝国病院 皇帝寄進とコンスタンティノープルの福祉
第六章 ビザンツ国家と慈善施設 皇帝・教会・市民をめぐる救貧制度
第三部 神の資産と皇帝の配慮
第七章 財政問題のなかの修道院 皇帝たちの苦悩と配慮
第八章 教会施設の俗人管理問題 カリスティキアの展開と濫用
第九章 修道院所領と帝国租税システム 神の恩寵・皇帝の管理
結語

あとがき
参考文献
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大月 康弘
1962年生まれ。 歴史学者、経済学者。一橋大学大学院経済学研究科教授。専門は、東ローマ帝国史、ヨーロッパ経済史。
一橋大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了、同大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。経済学博士。
著書に、『帝国と慈善 ビザンツ』(日経・経済図書文化賞)『ヨーロッパ 時空の交差点』
『コンスタンティノープル使節記』(リウトプランドの原文全訳+註および論文)など、
訳書に、ピエール・マラヴァル『皇帝ユスティニアヌス』ベルナール・フリューザン『ビザンツ文明』マガリ・クメール/ブリューノ・デュメジル『ヨーロッパとゲルマン部族国家』(共訳)などがある。

目次

序論 「帝国」の原像ヘ ビザンツ国家の射程
一 歴史の律動のなかで 二 ビザンツ国家の帝国性 三 本書のねらいと構成
第一部 帝国教会の財産形成
第一章 キリスト教帝国と教会 教会の税制特権形成
はじめに 一 研究史の傾向と対象への視角 二 国家の法的措置 三 教会に対する諸特権の付与 四 聖職者に対する「免税」措置 五 社会救済活動に対する国家の配慮 おわりに
第二章 教会寄進と国家権力 五・六世紀の法制化
はじめに 一 問題への視角 二 教会施設設立の法規制化 三 教会財産保全への法的配慮 おわりに
第二部 寄進・慈善・国家権力
第三章 マリアの遺言と帝国役人 貴族の遺言執行と国家機構
はじめに 一 パクーリアノス家の家産 二 永遠の記憶の中の寄進者 三 帝国財政制度の中の寄進 四 永遠の記憶と歴史の証言 おわりに
第四章 アッタレイアテスの家産政策 慈善施設設立の理念と打算
はじめに 一 一一世紀ビザンツ社会とアッタレイアテスの『定書』 二 アッタレイアテスの生涯と家族 三 アッタレイアテスの財産寄贈と施設管理 四 アッタレイアテスの意図と施設のその後 おわりに
第五章 ヨハネスニ世と帝国病院 皇帝寄進とコンスタンティノープルの福祉
はじめに 一 伝承された設立文書 二 資産と活動 三 医療の実際 おわりに
第六章 ビザンツ国家と慈善施設 皇帝・教会・市民をめぐる救貧制度
はじめに 一 六世紀における慈善施設の公的管理 二 一一世紀における慈善施設の私的経営 三 帝国行政のなかの病院の特権的地位 おわりに 皇帝と慈善施設
第三部 神の資産と皇帝の配慮
第七章 財政問題のなかの修道院 皇帝たちの苦悩と配慮
はじめに 皇帝文書の謎 一 一〇世紀諸皇帝の配慮 二 修道院の叢生と帝国の規制 三 歴史家の証言 四 若きバシレイオス二世の苦悩 五 皇帝たちの対教会政策 おわりに
第八章 教会施設の俗人管理問題 カリスティキアの展開と濫用
はじめに 一 カリスティキアの問題性 二 カリスティキアの諸特徴と起源 三 カリスティキアの発生と「濫用」の実体 四 一〇世紀の帝国財政政策とカリスティキアの発展 五 一一世紀の諸事例と教会人の反応 おわりに 規制を越えて
第九章 修道院所領と帝国租税システム 神の恩寵・皇帝の管理
はじめに 一 保存された羊皮紙 事実としての文書 二 所領をめぐる陳情 三 修道院財産の保全と国家権力の役割 四 国家役人の所領調査と修道院の権利保全 五 「移動する農民」の帰趨 おわりに
結語

あとがき
参考文献