角川文庫<br> 甘夏とオリオン

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角川文庫
甘夏とオリオン

  • 著者名:増山実【著者】
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • KADOKAWA(2022/02発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041120545

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内容説明

人はいつだって、誰かを待っているんやね。
大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見――。苦境を打開するため、甘夏は自身が住んでいる銭湯で、深夜に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきて――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

83
出自。意識・無意識に纏う鎧。人生の紆余曲折の中で心身を傷つけながらも、直接的には師匠たちが、間接的には演目で3人を導く。印象的なのが、夏之助が語る『代書』、そして遊楽が語る『一文笛』。本質を見極め、向き合う!腹に落ちるのは、言葉のみならず、中身が伴うからこそ也。だからこそ、若夏の弟子入り過程と、甘夏命名拒否の件は笑う。そんなこんなも、オリオンは全てをお見通し?!なお、”窮地”で再会したレイコとの件も印象的。窮地に寄り添う、それがMSGかな。2022/08/12

のんちゃん

42
上方落語の師匠の下、稽古に励む女噺家甘夏。ある日、真面目な師匠夏之助が失踪してしまう。残された兄弟子二人と師匠を待つ日々が始まった。私は落語が好きだ。何冊も落語の本も読んだ。が、今作はそれらよりもその真髄を教えてくれた。師匠の一言「現実の世界は厳しいもんや。厳しい現実を認めた上で、人生を、肯定する。落語の底流には、そう言う考えが流れてる」そう、どうしようもない人や事柄の肯定、そういう優しさを持つ落語が私は好きなんだと思った。他にも女噺家の甘夏の苦労等、落語の世界が広がっている本作、私にはヒットだった。2022/03/15

すだち

40
駆け出しの女流落語家甘夏を中心に、失跡した師匠を待つ弟子たちのストーリー。落語のバリエーションの豊かさ。噺に込められた人間の滑稽さ、愛おしさ。悪も欲も悲しみも落語にすれば笑い飛ばせそう。ストリッパーに入れあげた小夏は一皮むけて帰ってきた。水俣生まれを武器に『仔猫』をバージョンアップした若夏。性別という最大の壁を超えていく甘夏。三夏がこなに頑張りよるのに師匠何してはりますの。はよ帰ってきてや。2022/07/07

優希

39
落語そのものをよく知らないので、あまり話に入って行けなかったのが残念です。2022/06/08

しげき

32
女性落語家が主人公の話。落語の話がメインですが、日本の歴史の闇というか社会問題も今作品にも触れており、著者の作品を読むといつも勉強になる事が多いです。様々な偏見に苦しんでいる人達が世の中にはまだまだ多いということを忘れてはいけないと思います。落語よりそちらの方が印象に残りましたが、寄席にも一度行ってみたいなあ。2022/04/15

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