内容説明
15世紀末のパリ。ノートル=ダム大聖堂の副司教クロード・フロロは、聖堂前の広場で踊るジプシーの娘エスメラルダに心を奪われ、自分が育てた異形の鐘つき男・カジモドに誘拐させて、わがものにしようとする。しかし間一髪、王室騎手隊の隊長に救われ、エスメラルダはその若き隊長フェビュスに一目ぼれしてしまう。嫉妬に狂った副司教のクロードは、フェビュスを殺し、エスメラルダにその罪を着せ破滅させようとする。一方、エスメラルダの美しさとやさしさにふれ、いつしか愛情を抱くようになったカジモドは、彼女を絶望的な運命から救いだそうとするが――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
85
「ノートル=ダム・ド・パリ」は興味があった本だけれど、読みにくいらしいので手を出しかねていた。今回出た角川文庫版は、読みやすさを目指した抄訳なので読んでみる。実際、すこぶる読みやすい。お話がどんどん展開して、メロドラマ性が高い。登場人物の造形が良いし、原書の挿絵が入っているのが気分を出しており、作品世界に入りやすかった。テーマ性はあまり感じなかったが、深く味わいたいなら完訳を読むべきなのかな。この機会にアニメ映画「ノートルダムの鐘」を見てみよう。救いのない物語をディズニーはどうアレンジしたのか?気になる。2022/03/11
佐島楓
77
ディズニーでアニメ化されたことくらいしか知らず、原作者が「ああ無情」のユゴーだったことも今回初めて知ったくらいだったが、海外文学を読みたい気分だったので手に取った。絶望的になるくらい救いがなくて驚いた。パリの街は差別と偏見と汚辱にまみれていた。この物語をどうやってアニメ化するんだよ……と、別の興味がわいてきた。ショックだったけど、読んでよかった。2022/03/18
ずっきん
65
簡略版なので超あっさり。やっぱユゴーは暑苦しくないと。でもそこを補うような当時の挿絵がグッジョブ。読みやすさは鉄板。2024/02/19
マツユキ
18
あれ、ユゴーなのに薄いと思ったら、抄訳だったのか。ディズニー映画は観た事があるけど、どんな話だったかな。美しいジプシーの踊り子エスメラルダを巡る男たち。ノートルダム大聖堂の副司教クロード、鐘突き男カジモド、王室射手隊隊長フュビュス。結局、自分勝手にしか人を思えず、若い娘に何するんだ?!と思いつつ、純粋なエスメラルダとカジモドのすれ違いが、悲しい。彼女たちの運命もまた悲しかったですが、悪いラストではなかったです。イラストも生き生きとしていて、素敵でした。2022/10/25
ROOM 237
16
ごめんあそばせ岩波文庫様、綺麗な挿絵に惹かれ角川版Kindleアンリミにて失礼致します。生粋の美女を巡り数多の殿方が手を伸ばそうと、やがて大騒動に発展するロマンス〜マジックリアリズム。身の程知らずストーカーおじいの謎の行動力たるや、15世紀も今も変わらず自己中であゝ恐ろし。アメコミヒーロー的な気は優チカ持ちのカジモドの奥ゆかしさ、相手を尊重した勇気ある選択と行動に対しユゴーさんが用意したラスト…なんも言えねえ。ディズニーアニメ観てないけどこのラストは荒れる(✧Д✧)カッ!。ノーコメントで失礼します。2023/07/24