日本経済新聞出版<br> 高望の大刀

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日本経済新聞出版
高望の大刀

  • 著者名:夜弦雅也【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 日経BP(2022/02発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784532171643

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内容説明

第13回日経小説大賞受賞作の主人公は、桓武天皇の曾孫というやんごとなき出自にして、日本の武士の起源ともされる謎多き人物、平高望(たいら の たかもち)。平安前期の裏面史を大胆に創作した歴史活劇である。当時、京のみやびな世界の外では、早くも「もののふ」が勃興してきていた。史実における平高望は、朝廷への反乱を鎮圧した功により上総介に任官され、京から上総国(いまの千葉県中部)に東下し土着したとされる。しかし、その生涯は現在もなお謎に包まれる。平安末期に武士として栄華を極めた平清盛の系譜も、元をたどれば高望につながり、後に源頼朝の鎌倉政権樹立を助け、有力御家人となった北条氏を代表とする「坂東平氏」にも系譜が連なるとされている。そして高望の孫は、平将門である。平安中期、関東を制圧して朝廷に反旗を翻し「新皇」を名乗って東国独立をはかった。「祟り(たたり)」で有名な首塚が東京都心に残るように、関東では今も将門信仰が根強い。比類なき武芸の達人で、民衆に慕われた将門には、数々の伝説が残る。その生涯は小説になり、歌舞伎になり、NHKの大河ドラマにもなった。この「将門伝説」を頭の片隅において読めば、本書の物語はより深く愉しめる。桓武平氏の祖として京を離れて東国に武家の基盤を築いた高望の生涯も、将門伝説のように波瀾万丈でドラマチックであるに違いない。平安前期は京の貴族社会を除くと、ほとんどの民は、過酷な環境のもと、死と隣り合わせのむき身で生きていた。生き抜くことに懸命な人たちの「生」そのものが描かれる歴史ファンタジーの中で、無骨で不器用なスーパーヒーローが、縦横無尽に疾駆する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

海猫

64
平安時代前期。無位無官の「王」の平高望が大政官に窮乏訴えると不利な条件での試合に挑戦せざるを得なくなってしまう。前半の山場は弓矢に剣で立ち向かう高望の闘い。場面の臨場感が素晴らしく、予想外の事が起こるので思わず引き込まれる。勝負に勝っても万々歳とはいかず、なんと上総へ流刑に。後半は労役に耐える高望を描く話になっていく。あまりの艱難辛苦に苛まれながら、誇りを捨てず生きる努力を続ける姿には心打たれる。さらに話が進むと、弓矢対剣場面が再びくるのが熱い。終盤の展開は巻きが入るが、苦難の果てに幸福を掴む姿には感銘。2022/12/24

マツユキ

18
主人公高望は桓武帝の曾孫ですが、位階も官職もない。窮乏を訴えたが、弓矢相手に刀で勝負する事になり…。時代も、主人公の名前も、馴染みがないですが、無茶させられているのは、分かる。どんな時でも真っすぐで、人を思う主人公が、愛され、その上に自分の力でどう乗り越えていくのか、最後まで楽しく読めました。2023/01/11

aloha0307

18
@9世紀後半 雅な平安時代にひたひたと武士が登場し始めた…桓武天皇の曾孫(その数300人余)でありながら無位無官の高望王の立身出世を懸けた戦いをいきいきと描く。アクションヒーローとしてのエンターテイメント性が見事です🌸🌸2022/06/19

サケ太

18
すげぇ力技だ。平将門や平清盛の桓武平家の祖である、平高望。その若かりし頃には、無位無官の王の一人であったが、官位を得るために大刀で弓と戦う事になる。古代の時代にあっても無理難題。藤原利仁と知り合うことで、活路を見出していく。その後の理不尽や不条理に抗いながら、戦う事になる。行くところまで行った高望。その行く道にドキドキさせられた。2022/03/01

なななな

11
平高望、初めて知りました。どうしても将門のイメージ、「風と雲と虹と」の印象があり悲劇を想定して読んでしまうのですが、こちらはもう少し軽やかで、面白く読めました。2022/03/20

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