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内容説明
「新しい」が現在のような「進歩的だ」「新鮮である」という意味になったのは近世になってからであり、古代や中世では単に「現在」を示すものだった。「新しさ」が江戸時代に評価を高め、いかにして幕末維新期に大衆をリードするキャッチフレーズになったのか。「本」に立ち返ろうという復古思想とのせめぎ合いの中、明治以降の高度な外来の文化を受け入れる下地となる学術や思想がどう育ってきたかを、「新」や「本」の字義の変化をたどって検証。この国の進歩への志向の系譜を探る。
目次
はじめに
第一章 越えられない本家──古代・中世の「新」
1 最初を尊んだ時代
本来あるべき姿
土地を持つ資格
新制と新法
反社会的な新儀
2 和歌と能楽
古今集と金葉和歌集
藤原定家と本歌取
能楽の本意と本風
宗祇の正風連歌
3 古語と現代語
欧文の国語大辞典
アラタシとアザラシ
新茶も新米も
工夫と発明
一番乗りの武士
第二章 継承発展の道筋──近世前期の「新」
1 ベストセラーの新編
『実語教』と『童子教』
『塵劫記』の新編
そろばんの達人とは
養生訓が説く衣食住
2 元禄歌舞伎
遊里から出た言葉
本間とホンマ
近松の舞台芸術論
3 俳諧の新しみ
西鶴と芭蕉とオランダ
流行と新しみ
門人去来の後悔
芭蕉が詠んだ新酒
4 享保の改革
新規法度の狙い
江戸の知的財産権
新田開発と新新田
儒者が勧めた農業
5 受け渡された工夫
農業は効率的に
関孝和の人物伝
増えすぎた測量法
第三章 文芸と学術の興隆──近世後期の「新」
1 江戸歌舞伎のリアル
吉良上野介の本性
江戸に招かれた作者
本物志向と楽屋落ち
真夏の怪談の始まり
2 東西の医学思想
解体新書という新書
神経液流動説
杉田玄白版の養生訓
家庭の医学の集大成
3 復古から革新へ
謡曲復活の試み
古学・蘭学・国学
本居宣長の進言
最初のエコノミスト
新論の国防政策
4 数学と天文学
達人不在の道
窮理・道理・円理
蘭学から窮理学へ
5 発明と発見の間
平賀源内の評判
蘭学者が語る発明
発明品には特許権を
第四章 変革期を彩る造語──近代の「新」
1 維新と文明開化
維新と一新の共通点
窮理学から物理学へ
西洋偉人列伝
文明開化の掛詞
非凡なる凡人
2 新聞の時代
新聞から新聞紙へ
創刊に次ぐ創刊
学術論文の最新研究
先駆者の立ち位置
3 造語と歴史用語
最初の近代的辞書
多すぎる翻訳語
大化の改新
鎌倉新仏教
本末転倒の歴史
4 文壇と舞台
正岡子規の芭蕉論
芥川龍之介の俗語論
演劇改良運動
劇聖になった団十郎
おわりに
参考史料・参考文献
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