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内容説明
韓国の平均賃金はかなり前から日本を上回っており、日韓の一人当たりGDP(PPPベース)の差は近い将来5000ドル近くにまで達するという予測がなされている。日韓関係を正しく理解するためには、まずこうした逆転現象が起こっている現実を知らなければならない。そして「日本の韓国統治は植民地支配ではなかった」「韓国の反日意識を生んだのは反日教育」といった思い込みは改めたほうがいい。日本を代表する韓国の研究者が、精緻な論述と豊富なデータで日韓関係を明快に論じ、さらにいま韓国で焦眉の急となっている、不動産問題や就職できない若者の問題について解説する。 ■ステレオタイプな日本の韓国認識 ■なぜ大統領のレイムダック現象が生まれるのか ■日韓の賃金を比較する ■「日本は韓国を植民地支配していない」は本当か ■反日意識を生み出したのは反日教育か ■アジア通貨危機による大規模な改革 ■やがて日本を追い抜く韓国の高齢化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
18
▼ 著者は韓国研究の第一人者・木村幹氏(神戸大院教授)▼ 日本人は「日本より韓国の方が国力が低い」という先入観を抱きがちだ。しかし、経済的な部分では既に追い越されているという事実をデータで教えてくれる。 ▼韓国が事あるごとに示す日本に対する不満。これは国力を増した韓国政府が、日韓関係でトラブルが起きた際「鎮火活動をする必要が無い」と考えているからだと指摘している。腑に落ちる指摘だ。▼一気に読み通せた。隣国に対して抱くわ驕った感覚に釘を刺してくれる一冊だ。そして、新しい視点を持って韓国を訪れたくなった。
サケ太
16
非常にわかりやすく、ありがたい書籍。学生の質問に答える、講義という形式で説明されていく、“韓国”という国。日本からの韓国認識。韓国の実力。歴史認識問題。韓国の抱える問題。非常に興味深く読めた。近くて、遠い国だからこそ、その国の考え方、実像について理解を重ねていくのが大事だと考える。2022/02/18
Yuki2018
6
韓国は自ら独立を勝ち取ったのではないため、日韓基本条約も強大だった日本に押し付けられたという潜在的不満があった。にもかかわらず韓国政府はアジア随一の大国・日本の顔色を伺わざるえなかった。今や日本はそのような存在ではなく、韓国は潜在的不満を隠さなくなった。これが日韓関係悪化の主因である。また「韓国人は反日で頭が一杯」とする嫌韓論者も多いが、これも事実ではないという。確かに韓国には問題のある部分も多いが、我々自身が頭を冷やして立ち位置を認識し、古臭いプライドにミスリードされないようにすることの方が重要だ。2022/04/20
オレコ
5
韓国のグローバル化による経済発展と日本の衰退により、日韓関係はかなり変わってしまったということがよく分かる内容だった。もはや韓国にとって日本の存在はさほど大きくなくなったのに、日本ではメディアの伝え方により相変わらず旧態依然とした認識のまま。メディアの罪は深い。とはいえ、韓国国内で抱えている問題は日本と共通するものも少なくない。その点において、これからも双方とも冷静に観察していく必要があるようだ。2023/03/08
たろーたん
4
韓国を見る目を曇らせているのは「GDPでドイツなら負けてもいいけど韓国は嫌」というような日本人の選民意識だろう。この本はそんな偏見を退けて数字で韓国を語ってくれる。数字で見ると、韓国は経済成長率、一人当たりのGDP、PPPベースの平均年間賃金は全て日本より上になっている。IMFの改革で成長した韓国はもはや後進国ではない。しかし、それでもやはり問題は抱えており、文在寅の不支持率トップの理由は不動産制作らしい。バブルで不動産神話を失った日本と違い、韓国は以前、成長し続ける首都圏の不動産に対して期待が強い(続)2023/01/25