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内容説明
「ナチズムの出現」「不安定な時代を招く大衆の登場」「アメリカ流ビジネス文明の蔓延」など21世紀の問題を予見していた19世紀の歴史家・ブルクハルト。世紀の変わり目に来て、歴史を見直す傾向のなか、バーゼルの異端的歴史家に何を学ぶか? 本書では、進歩史観の生き詰まりにいたる「歴史観の歴史」の概要をつかみ、「歴史の危機とは何か。その克服法はあるか?」という問いを、ブルクハルトとその歴史観の紹介を通して明らかにしていく。近代進歩史観信奉を経て、マルクス流だけでなく自由主義的進歩史観も凋落していった。進歩史観の限界に直面した現代にこそ、「歴史は人間精神の連続体」「人生の教師である」と捉え、「歴史の営みはおぼろげな謎」「未来は知りえないから未来である」という深い懐疑の精神に貫かれた歴史観が、危機の時代を乗りきる指針として価値をもつ。決着に何十年を要する今回の危機に臨んで、21世紀を生きぬく智恵を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バルジ
4
ブルクハルトの歴史哲学を通じて現代社会を見つめる一冊。進歩史観を退けあくまで循環するものとして歴史を捉えるブルクハルトの思想は面白い。「悪」について必ずしも排斥するのではなくむしろ「悪」が果たした一面にも光を当て歴史を総体的に見る視点は日常にも活かせそうな視座とも思う。2020/01/20
check mate
2
30歳のブルクハルトの世界に対する構えが今の私のそれと同じで驚いた2017/10/09
えむa
1
この本を読むまでブルクハルトの名前すら知らなかった。主流たる進歩史観から一線を画し辺境から辛抱強く観察に徹した19世紀の歴史家の思索は重く、その慧眼は驚嘆に値する。彼にとって歴史とは人間精神の始まりも終わりもない"精神の連続体”そのものであり、長い間われわれが依拠してきた進歩史観の行き止まりが見えてきた現在だからこそその思索はなお意味深い。彼自身は諦念はしても絶望もしていなかったのではないかと思った。2015/08/12