内容説明
「私の父の深沢武吉は,生涯巡査であった」.戦中から戦後初期の淡路島.小さな駐在所に身を寄せ合う,ある一家のささやかな幸福と戦争の傷痕.――実父をモデルに著者が遺した珠玉の物語は,父親とは何か,時代の激変のなかの家族,人間の矜持,生きることの諦観と希望とは何かを問いかけてやまない.解説=長嶋有
目次
第一章 訃報┴第二章 巡査┴第三章 俳句┴第四章 肖像┴第五章 格言┴解説(長嶋有)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
阿久悠さんの実父を書かれた物語です。淡路島の駐在署の巡査であった人物が戦中戦後にどのような考え方を持っていたのか、どのような行動をしたのかが作者の子供と父親との関係から紡ぎだされています。私などは作詞家としての筆者が有名になりすぎている感じですがこのような作品がもう少し読まれてもいいのではないかと感じました。いい本でした。2018/10/13
n.k
15
ポリシーや愛といった言葉では片付けられない想い。便利な言葉でまとめられてないのでうそっぽさがなく、読んでて気分がいい。またいつか読み返します。2025/07/02
naotan
15
良い本でした。終戦の日、父と詠んだ俳句のエピソードに胸が熱くなりました。2018/12/14
n.k
14
今まで読んだ「家族」に関する読物のなかで、最もリアリティがありそして私の好みだった。「その時どう思っていたか」と「今振り返ってみてどう思っている」を整理して書こうとする意図がかなり読み取れるので、信用できる。過去を大袈裟にドラマチックに「あれが俺の分岐点!」みたいに書いちゃうやつは恥ずかしくて苦手なので。昭和の家父長制も誇張されエンタメになっちゃってるものがよくあるが、本作はその類ではない。巡査の父と息子の静かな関係が、飾らない言葉で綴られている。月並み感想だが、流石作詞家と何度も思わされる美しさだった。2023/03/15
よし
6
こんなすごい本が未発表作品とは。執筆から15年後、死後になって刊行されたいわく付。読んで深く心にしみた。一警察派出所勤務で定年を終えた父。「恥」を嫌い一徹を通した父の生き様。終戦の8月15日の「長かった夏の1日」の出来事。「急いで帰って、父や母に会いなさい」と悲痛な思いで言う校長。直立不動で立っていた間を這う蛇・・。この本が読めてとても幸せだった。阿久悠から眼が放せなくなった。2020/08/21
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