内容説明
九五年一月の阪神大震災は,今まで築いてきた「経済大国」日本の現実をも一気に露呈させてしまった.この反省にたって,「殺し,殺され」ることなく本当に「共に生きる」市民社会をこれからどうつくっていくべきか.大空襲の体験を思索の出発点とし,今また大震災を体験した著者が,戦後五○年に力強く訴える.
目次
I 「殺すな」の思想 震災と戦争・二つの「難死」体験をつなぐ┴1 「生きていてよかった」┴2 殺されることと殺すこと┴3 戦争における「難死」┴4 侵略の歴史をとらえる┴5 配給された民主主義と日本独自の民主主義┴6 平和と「殺すな」の道へ┴II 「共生」社会をもとめて 人間と人間、「われ」と「われ」をつなぐ┴1 天災か人災か┴2 政治と経済がゆがんでいる┴3 「共生」とは┴4 異質の価値の共生┴5 「ルツボ」より「サラダ」┴6 質的なちがいにかかわっての「昔話」┴7 「私の髪の毛は黒い」┴8 いつわりの「共生」としての差別┴9 制度と空気┴10 新しい共生社会へ┴あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あきこ
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小田さんが子供向けに書いたもの。わかりやすい言葉で簡単に書いているが、内容は深いものだ。人間が生きていくこと、という誰もが背負う時間について、過ごす心の持ち方が誠実に語られている。子供達にはすぐには分らないかもしれないが、いつか分るときがくるだろう。自分だけではなく、皆でこの時間を共有しあうこと、その約束についてのことだ。こんな大切なことを学校では教えない。生きていく見本のなんと少ないことよ。神戸の震災についての、この国のあり方が書かれているが、今回の東日本大震災ではきちんと活かされたのか?小田さんの意見2012/04/10
のん@絵本童話専門
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厳しい意見になってしまいますが、だいぶ怒りに満ちた書き方で、だいぶ主義思想に偏りがあります。2022年発刊のブックリストに載っていた一冊ですが(そもそもジュニア新書なので子ども向けに書かれたものですが)、子供にここまで偏ったものを読ませたくないと私は思います。阪神大震災後に書かれたものなので仕方ないですが、今の時代にそぐわないです。確実に失敗からちゃんと学んでいます。差別に対しても取り組んでいます。その時代時代でもちろん問題は常にありますが、少しずつ善処はしていると感じます。2024/01/26




