内容説明
ムーミンに魅せられた大人たちへ贈る――
人を、自然を、芸術を愛し、あるがままを生きたトーベが生涯最後に編んだ傑作選、待望の邦訳!
児童文学作家、画家、イラストレーター、漫画家などさまざまな分野で活躍してきたトーベ・ヤンソンは、大人向けの小説を書く「小説家」としての顔ももっています。1968年に発表した自伝的小説『彫刻家の娘』以降、ヤンソンはいくつもの優れた作品を発表してきました。
本書は、1971年から1991年の間に発表された作品の中からヤンソン自身が選定したベストセレクションに未邦訳書き下ろし7篇を加えた傑作選となっており、生前最後に刊行された遺作でもあります。自伝的作品集としての側面ももっており、学識豊かだった叔父たち、彫刻家だった父、母娘の関係、幼い日の冒険、美術学校の仲間たちなど、身近なひとびとが作品に登場します。ヤンソンの芸術観やクリエイティビティに関する洞察が窺えるような要素を含んだ作品も収録されており、日本のヤンソンファン待望の一冊を、ユーモアのある語りを生かした親しみやすい新訳で楽しむことができます。
2021年秋公開された映画『TOVE/トーベ』では多くの観客が彼女の半生に共感し、『ムーミン』の作者としてだけではない魅力を世界中に知らしめました。トーベ・ヤンソンは、読者と信頼関係をつくる天才、100人読者がいたら100通りの読書体験を与えてくれる作家と言われています。トーベ・ヤンソンをムーミンの作者としてしか知らないなんてもったいない! ぜひ読んでみてください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
90
実に味わい深い短編集。日本のアニメもあり晩年には年に2千通にもなる手紙の返事を書いていた。著者はさまざまな人生を書いただけでなく、読んだり聞いたりしたのだろう。ユダヤ系のせいで米国に渡った「ココニヴァへの手紙」、他人の子供を預かるひと夏の家族「夏の子供」、どこへ行っても人の悩みに巻き込まれてしまう「軽い鞄ひとつの旅」、島の孤独な生活を際立たせる「リス」、シモムラ氏の数本の線で描いた「オオカミ」、日本の女の子からの手紙「文通」、電話の留守録「メッセージ」などフィンランドの無人島で書く著者を想像しつつ読んだ。2021/05/01
榊原 香織
67
2021年、トーベの没後20年を記念して、生前最後の自選短編集を翻訳したもの。 スウェーデン在住日本人がスウェーデン語から翻訳。平易で分かりやすい。自選だけあって良い作品 トーベ・コレクション(訳;冨原 眞弓)に入っているものがほとんど。訳者によって随分雰囲気が違うと実感。そちらは仏哲学者らしく硬質な文章、作品によってはその方が生きる物もある。 これでトーベの翻訳出てるものは全読。(ムーミンコミック除く)2022/04/27
アヴォカド
16
ちょっとズレてて、でもいるかもこんな人…が出てくる話が面白かったな。クスリと笑ってしまう。『ローベット』『夏の子ども』『ある愛の物語』『自然の中の芸術』◎。『夏の子ども』で何度も繰り返される「起きたことは受け入れるしかない」というフレーズを、しかと受け止めるよ。2021/06/04
やま
15
トーベ・ヤンソンの最後の短編集。ムーミンの作者として知られるトーベ・ヤンソンは小説なども書いていて、以前に誠実な詐欺師というのを読んだ。そのときに思ったのは、心理描写が多くて入り込むのがむつかしそうだということ。◇この本もいろんなパターンの、時には緊張感が走り、時には孤独を感じ、時にはミステリアスな関係の二人がでてくる。訳者の後書きを読んで、二人がテーマということを理解した。◇やはり戦争の影響なのか、それとも北欧という地のせいなのか、照り付けるような日もなく、仄暗い時間が続いている。暗いけど魅かれる物語。2022/01/20
まこ
13
登場人物の多くは藝術に命を懸けていて、作者は彼らを応援している話が多い。人物たちの年齢や立場を超え、時には親子や恋人関係にも作者の面影や実際に体験したエピソードを感じる。連載漫画家とかまさにそう。登場人物が違っても前の話の続編だったり対になったりする話がある。「コニカとの旅」ではカメラが美しい風景を写す反面、そこに人がいない虚しさを描き出していた。2021/04/11
-
- 電子書籍
- 草魔法師クロエの二度目の人生 自由にな…
-
- 電子書籍
- 転生したらポンコツメイドと呼ばれていま…
-
- 電子書籍
- あの子の子ども ベツフレプチ(26)
-
- 電子書籍
- 大江戸恐龍伝 三 小学館文庫
-
- 電子書籍
- アントキノイノチ バーズコミックス ス…