内容説明
作家、翻訳家、エッセイスト、俳優など多岐にわたる活躍をし、「コミさん」の愛称とコミカルなキャラクターで知られる著者による文庫オリジナルのミステリ短篇集。1970年代から80年代初頭に文芸誌掲載のみで終わってしまった未書籍化の作品を多数発掘、日下三蔵氏の編集と詳細な解説とともに贈る。軽妙洒脱、独特の文体とリズムで描かれる“異色”ミステリを、初めて単著としてまとめた。
目次
りっぱな動機
死体(しにたい)の女
なぜ門田氏はトマトのような色になったのか
バカな殺されかた
密室殺人ありがとう
金魚が死んだ
カリブ海第二戦線
板敷川の湯宿
北波止場(ノース・ピア)の死体
爆弾は爆発しないというおしゃべり
耳穴カミソリ
ドラム缶の死体
編者解説 日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Inzaghico
9
本作に収録されている短篇「金魚が死んだ」に「ぼくも吉川も、ものごとを、きりきりっとつっぱって考えることができず、推理など、とうていできないのだ」という一節があるが、ここに収録されている作品は、厳密な意味では推理小説に当てはまらない。どちらかというと「ただミステリアスなストーリイ」だ。ただ、その謎めいた筋書きが癖になる。どこに連れていかれるのか、とワクワクしながら引っ張られていって「え? ここ?」と拍子抜けすることもあれば、「してやられた」と脱帽することも。2021/09/26
hirayama46
5
田中小実昌の小説をまとまったかたちで読むのははじめてかな。独特のとぼけていてちょっとほろ酔い加減のような文章と展開ながらも奥行きの深さを感じさせる筆致はかなり好き。昭和期における都会の夜の雰囲気が良いですね。2022/07/06
isbm
0
★★★2021/10/17