内容説明
母は私たち姉妹のどちらに寿命を贈るつもりなのか決して明かさない。女性問題から家を出た父は、再会した直後から妻や子供に「譲命」を迫られていると漏らす。遺産相続問題よろしく、社会の人間関係が奇怪な形に変ってゆく……。「保管士」資格者の使命感で事故現場を駆け回る私に忍び寄る悪意。異色ファンタジー長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
20
★★★✮☆耳の後ろの戸の中に命という器官があって人に移せる。その命を取り扱うことが出来るのは保管士の資格を持つ女性だけ。そんな世界の物語。SFと言うよりもファンタジー?保管士の仕事に誇りと自信を持っていた主人公は命が一つしかない世界から来た鈴木守と出会ったことで考えが揺らぐ。老人が七十を過ぎる頃から命を若い子供や孫に譲る事を社会的に強いられたり、殺人犯の死刑は誰かの為に命を使われたり、自殺希望者が命を寄付したりするのはとても良い事だと思うが…今の世界でも自分は命に軽重があると思っている。2022/03/09
いなこ
2
本来の命とは扱いの違う世界で、保管士という女性だけの国家資格を持つ真澄。この仕事に自信と誇りがあるプロフェションとして働いていたが、自分と異なる命を持つ鈴木と出会い、気持ちに変化が。家族や仕事に疑問を持つようになり、そしてでた行動は…。生と死の制限、譲渡。架空の世界でのそれは今の私たちの世界でも形は違っても重い問題だ。不思議な感じで考えさせられる作品だった。2022/03/15
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