内容説明
ただひたむきに前を向いて「前進」するだけが、生きることではない。いつの時代も、人は何万年もの記憶の集積の上に今を生き、自分もまた忘れがたい過去の集積体なのだ。雑事に追われる日々の中に、無意識の声、遠い過去からの足音が聞こえてくる。変わり続ける世相の中にも、予測しえない未来がふと浮かぶ。ときに反時代的であっても、後ろを向きながら前へ進む――混迷と不安の時代を生き抜く「背進」の思想。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
137
【新書】のサイズが好きだ。だが、専門書のイメージが常にあってちょっと敷居が高く感じるのは私だけだろうか?五木先生の著書はさほど読んではいない(正直でしょ?・・汗)ので、おこがましいのは自覚しているが自分のレビューだものね(あくまでも自分に甘い・・汗)タイトルからしてどんなジャンル?読みながら頷きつつ、ちょっと私にはなに言ってるのかわからないのもあったのが逆に面白い。長く生きてそれこそ時代を体感した方だから『〈反時代的〉に生きる。』と言える気がする。今しか知らずの若者にどう響くのかなぁ・・ 2022/04/08
アッキー
2
背進なのに、イツキセンセイの超前向きな文章に元気をいただいた。2022/05/08
イツシノコヲリ(丹波國)
1
数年前に再放送された百寺巡礼を録画してよく見ていた。この本は筆者の人生について書かれていたが、朝鮮からの引き揚げなど、僕らの世代とは比べものにならないぐらいの多くの経験をしていた。筆者の自由な生き方は、早稲田大学露文学科で培われた人脈のおかげであり、作家だからできるのではないかと感じた。普通の人間が簡単に真似できるものではないだろう。特に政治的なイデオロギーにそまることもなく、作家として長生きされているのは、すごいと思った。2022/02/27
y_u
0
背進の思想とは、過去を顧みながら、後ろ向きで前に進むという五木氏の新たな思想。デジタル社会は高齢者にも否応なく、スマホの所有を義務付ける。だからといって、過去の習慣を不要として捨ててよいものか、と提起する。生きてきた証拠を無くすのは、人生の無意味にするのではないかと問う。また、五木氏はコロナ禍で夜型から朝型へ切り替えたという。毎日朝に新聞を隅々までお読みになっており、驚くべきことに各章のエッセイも時代の先端を走っている。コロナ後の社会は、国民が一体感を失い対立が露呈する時代ではないかと予言するのも鋭い。2022/04/30
Gaudi
0
毎日何かを題材に書け、と言われたらできるでしょうか。1週間に一回でも厳しいかもしれません。 日々の生活の中に新たな発見を見出す、それが難しくなってきました。 心が跳ねることが少なくなったのでしょう。2022/04/29