内容説明
鉄砲をどう運用すべきか。
天候を予測することはできるのか……。
織田信長による戦の勝利の裏側には恐ろしいまでの合理的思考があった。
戦国の世、最も先を見据えていた男が最後に導き出したものは、
自らの死後、明智を破る秘策だった―。
独自の着眼で誰も見たことのない信長像に迫る、傑作短編歴史小説集。
解説・天野純希
※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブルちゃん
31
面白かった!どの話も良かったし、心に残った。炯眼の持ち主である信長の、ひっそりとした、凛とした強さも良いが、名前も知らなかった登場人物たちの関係性も地味に良かった。にしても先の先を見て話を構築する木下さんすごいっ!😆2022/04/13
tomo
13
☆☆☆☆ 4.3 本作での信長は、まさに“炯眼”だ。短編集ではあるが、どれも“そうかも”と思わせる。信長に次ぐ“炯眼”、猿似の秀吉。鉄甲船では、上様もそんなもの出来るわけないととっくに見切っておるわ、と悩める部下たちを尻目にまさかの判断。やはり、この猿は食えない、やるな。2023/06/13
イシカミハサミ
12
いろいろな主人公たちが躍動する、 それでも信長が主役の1冊。 信長の研究が進んだ現代ならではの解釈と、 読み応えの1冊。 信長にまつわるいろいろな謎に対して、 明解痛快な回答を用意しつつ、 小説として十分すぎる読み応えだった。2022/04/30
流石全次郎
8
連作短編集。物語の初めに「序」の章があり、物語にまつわる背景や謎が示され、学校では歴史嫌いだった私でも知っている著名な武将や、有名なのかもしれないけど私は知らなかった登場人物によって章毎に異なるエピソードが描かれる。章がすすむ毎に「信長」の大きな影が揺れ動いた。2022/04/09
さかぐち
4
信長には色々と逸話があるらしいです。有名なところでは長篠の戦での銃の三段打ちとか。7つの逸話についての短編が書かれています。一応知っていたのは長篠の戦だけでしたが。信長には苛烈で残酷というイメージを持っていましたが、実際のところどんな人だったのだろうと、最近興味が出てきました。人柄的なところは分かりませんが、とにかくめちゃめちゃ頭が切れる、というのは間違いないのだろうと思います。この本ではその頭の切れ具合と、人柄的にも魅力的に書かれていて、とても面白かったです。2024/03/31