内容説明
暗殺の現場に居合わせた主人公は被告の無罪を証言すべく出頭する。高地人の娘との恋を巻き込みつつ史上最悪の暗黒裁判は進行する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
black_black
5
自身の読解力不足を実感した1冊。主人公デイビッド・バルフォアの成長と恋愛を描いた物語(会話劇)ということだけど、前作である「さらわれて」を読んでから読むべきだったと思う。とにかく同名の複数の人物や別名を持つ人物が数多く登場するのと、英国(スコットランド)の紳士仕草や語り口になかなか慣れず苦労の多い読書だった。面白い登場人物や古き良きイギリスの雰囲気が感じられて良かっただけに余計に無念の思い(苦笑) 訳者は原書に忠実に訳されたらしいけど、もう少し日本人向きの表現を取り入れられなかったものかと最後は恨み節。2022/05/03
takeakisky
2
さらわれてが一気呵成に書かれたように見えるのに対し、カトリアナには厚みがあって、じっくり読ませる。デイヴィッドの成熟ぶりに戸惑いすら覚える。前半、司法長官との息詰まる遣り取り。アッピン殺人事件の一筋縄ではいかない政治的結末とデイヴィッドのできうる精一杯。主人公が我が身の誤ちを振り返るところがRLS流か。二部に入るとますます因循と思い悩むこと。カトリアナとのロマンスは必要以上の焦ったさがある。5年半英国リネン社で待っていた甲斐はあったんじゃないかな。前篇で語り残されたことも語り尽くされ、正続2篇で1作品。2023/07/17