内容説明
「100分de名著」で2017年6月に放送され、大好評を博した『維摩経』がついに単行本化。特別章「空だからこそ」を加筆。
大乗仏教の経典の中でも異彩を放つ存在である『維摩経(ゆいまぎょう)』。そこで説かれる内容は、仏教の「そもそも」を見つめ直す視点や、世俗と世俗に関わることを肯定し、しかし執着や分別心から己を解き放ち生き抜くことを説くものだ。
著者は仏教思想の大転換点として『維摩経』の解説を行い、「空」と「慈悲」という仏教思想の両輪を、そこに見る。また、維摩という在家の老人による、「困難を抱える人びとが苦しんでいる限り自分の幸せはないという他者性を重んじた考え方」は、極めて今日的な示唆を与えてくれるとする。
特別章として、仏教の本質でもある「空」思想への理解を深める論考を、『維摩経』の関係を示しながら付す。
執着を捨て、思い込みを捨て、生きやすい自分になろう――
在家の仏教信者・維摩(ゆいま)老人が名だたる仏弟子たちを、快刀乱麻を断つが如く“論破”する!
そして二項対立の罠ものりこえ、いつしか深遠な思想に辿り着く。
「こんなに面白い仏教経典があったのか!」と瞠目させられる、知的興奮の一冊。
〈目次〉
はじめに
第1章 仏教思想の一大転換
第2章 「得意分野」こそ疑え
第3章 縁起の実践・空の実践
第4章 あらゆる枠組みを超えよ!
ブックス特別章 空だからこそ
読書案内
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきだるま
7
般若心経の100分名著を読んでこれを読んで、基本は同じで、ただ維摩経は、維摩というおじいちゃんが、形とか法とか言葉とかに縛られてる方々に気づきをもたらすみたいな具体的で物語仕立ての内容。けっきょく空なんだから自分に執着しないで、とか、例えば男とか女みたいな表面の相にこだわるな、みたいなこととか、二項対立(善か悪か)的な考えやめようとか、わりと現代の問題を解決するヒントになりそうな。こんなきれいごとばかりにはいかないけど、自分を持て、一貫性を持て、あいつ(ら)は敵だ、みたいな辛さから逃れる救いにはなりそう。2022/02/12
FujiSan
1
全く分からず 仏教はダメだわ2022/10/12
Satsumaimo Marron
0
聞きなれない経典の名前だったので手に取ってみた。仏教の経典の一つの導入本のようなスタンスでしょうか。「二項対立のワナにはまるな」という点が大事。書いてあることは簡単なように思えて、考えさせられることや実践が難しいと感じることが多かったです。ただ、維摩経に興味がでてきたので、ほかの本も読んでみようと思った。2022/09/10