内容説明
戦国に名高い美女、お市の方への思慕を盲目の法師に語らせた表題作のほか、戦国時代に材を取った「聞書抄――第二盲目物語」など、歴史ものの傑作。北野恒富の口絵、菅楯彦による挿画(「聞書抄」)を完全収載。ほかに短篇二作、正宗白鳥による文藝時評を付す。〈註解〉明里千章〈解説〉千葉俊二
盲目物語 他三篇
収録作品「盲目物語」「聞書抄 第二盲目物語」「三人法師」「紀伊国狐憑漆掻語」
付録『盲目物語』――「文藝時評」より(正宗白鳥)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
バトルランナ-
9
原田 ひ香の古本食堂に出てきたので読んでみた。若い時はこの古文みたいな文体読めたと思う。1.5点。2024/01/23
たつや
8
読んだこと無いなー。「春琴抄」の別バージョンかな?と思い、借りたが、歴史小説でした。織田信長の妹、お市の方の数奇な生涯を法師に語らせるというスタイル。戦国時代を舞台としたお茶々の物語等、創作ではない作品集でしたが、書かれた時代がそうさせたのか?文体は読みづらく、時間がかかった。2026/01/14
どら猫さとっち
6
谷崎潤一郎の作品には、歴史小説も多い。織田信長の妹で天下一の美女と称されたお市の方と、長女で豊臣秀吉の側室となる茶々を、盲目の法師が語る「盲目物語」、安積源太夫が石田三成の娘の老尼に語る、秀吉の甥で養子の、殺生関白と称された秀次とその家族の悲劇「聞書抄」と短篇2篇を収録。口絵には北野恒富の「茶々殿」と、菅楯彦の挿絵を収載している。戦国時代の陰惨な悲劇、ここまで美しい文章で描かれるのか。改めて谷崎潤一郎が好きであることを再確認。2022/10/09
しょうじ
4
谷崎潤一郎は初読み。代表作ではないが文章が滑らかというか美しいと感じる。さすが有名文豪。しかし聞書抄 第二盲目物語はとっつきにくくて読み飛ばした。お市の方(信長の妹)に仕えていた盲目の按摩さんが彼女の生涯を語る表題作は歴史ものとしてもモノ悲しく主人への情愛を感じさせる話。三人法師や紀伊国狐憑漆掻語は狐憑きや昔話の伝承のようで現代ではなかなか読むことのない物語だなと感じる。谷崎の代表作を読んでみたくなる。2025/11/30
月音
1
「おんはだえのなめらかさ、こまかさ、お手でもおみあしでもしっとり露をふくんだようなねばりを持っていらしったのは、あれこそまことに玉の肌(はだえ)」。表題作は、盲目の座頭が語る信長の妹お市の方と姫君たちの数奇な運命。視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ美を追求する主題は、同じく名作の『陰翳礼讃』にも通じる。『聞書抄』は「又聞きの又聞きによる語り」という複雑な構成が、かえって悲劇的効果を薄めているように思った。説話・伝承が素材の他二編も含めて、「語りの世界」の視覚化を試みたそれぞれ個性的な四編だった。⇒続2022/07/26




