内容説明
差別と偏見について。
性別について。
性的少数者と社会の関わりについて。
近代社会原理の再確認をしながら、1990年代初頭に日本初のトランス系ネットコミュニティ「EON」を創立し、2003年「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」成立に携わった経験から、マジョリティとマイノリティが「対立」ではなく「和解」へと進むことを考察する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobuoka
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筆者は哲学を基礎においているトランス女性。 近代社会の原理を説明し、社会的な問題を解決するためにどう考えると良いのか、ということが書かれている書籍である。 特に近代社会の原理については、トランスジェンダーに関係なく現代社会で生きる人にとって意味のある内容だった。 本書は書名に 「トランスジェンダー」 を含んでいるけど、トランスジェンダーの人々が直面する問題などの具体・詳細にはさほど触れられないので、「トランスジェンダーについて詳しく知りたい」 という人には向かない内容ではある。2023/08/16
depo
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図書館本。著者は、今回のLGBT理解増進法騒動をどう考えるのだろうか。2023/06/21
kumoi
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ホームレス、性的少数者、身体障がい者に対する差別は、未だに根強く存在している。どうすればこれらの差別をなくすことができるのか。その答えは近代市民社会の原理にある。近代市民社会とは、社会を構成するすべての人の自由が相互に承認され、適切な競争が行われる社会である。社会運動は自らの思想を善とし、既存の秩序を悪とみなすが、こういう方法は社会の分断を免れない。ルソーが言っている通り、社会の正当性は一般意志にのみその根拠を持つ。社会運動が特殊意志の実現を目指す限り、そこに正当性など存在しない。2022/04/19