ちくま学芸文庫<br> 増補 現代美術逸脱史 ──1945-1985

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ちくま学芸文庫
増補 現代美術逸脱史 ──1945-1985

  • 著者名:千葉成夫【著者】
  • 価格 ¥1,485(本体¥1,350)
  • 筑摩書房(2022/01発売)
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  • ISBN:9784480510709

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内容説明

「美術」とは何かが問い直される時代にあって、日本の美術家たちは、どのような思想のもとにいかなる創作活動を展開してきたか。具体、ハイレッド・センター、もの派、美共闘、ポストもの派……。戦後40年の日本美術の流れを跡付け、欧米の模倣でもなく、伝統への回帰でもないその逸脱の軌跡の中に、日本固有の「美術」の萌芽を読み取っていく。作品や展覧会をもとに論じるだけでなく、針生一郎、宮川淳らの批評や、李禹煥ら作家の思想も追った。「類としての美術」を提唱した鮮烈な批評にして画期的通史、およそ100頁の増補を加えた決定版。

目次


第一章 「具体」─アンフォルメル─「反芸術」
はじめに
Ⅰ 批評の推移
「具体」の等閑視
アンフォルメル・ショック
東野芳明
針生一郎
宮川淳
Ⅱ 「具体」とは何か
運動としての「具体」
表現過程の自己目的化
アンフォルメルへの移行
Ⅲ アンフォルメル
Ⅳ 「反芸術」のとらえなおし
「反芸術」論争
九州派
読売アンデパンダン展とネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ
「反芸術」の意味
第二章 一九六〇年代
はじめに
Ⅰ ハイレッド・センターから「環境芸術」へ
高松次郎・赤瀬川原平・中西夏之──結成
「作品」はどこにあるか
日本ポップ・アートと境界領域の美術
「環境芸術」とは何か
Ⅱ 日本概念派
美術状況の極限化
松澤宥・高松次郎・柏原えつとむ
グループ「位」
第三章 「もの派」
Ⅰ 「もの」の位相の展開
「もの派」の背景
李禹煥の役割
「もの派」の成立
「真正もの派」から「もの派」の拡大へ
Ⅱ 世界とのかかわりの思想
李禹煥
菅木志雄
「もの派」の達成と限界
第四章 一九七〇年代
Ⅰ 美術学生の反乱
「美共闘REVOLUTION委員会」
美術の根源的な制度性
美術の喪失
Ⅱ 類としての美術
西欧の論理
日本の現実
歴史的検証
プラークシスへ
Ⅲ 美術の現在
絵画・彫刻への回帰
ニュー・ペインティング現象
終りなき現在
増補 この先へ
増補へ
『現代美術逸脱史』から『未生の日本美術史』へ
状況
空白の時代を生きる
振り返って
Ⅰ 「もの派」の展開と変容
関根伸夫──突破口
李禹煥──点と線の先の絵画へ
吉田克朗──身体の絵画へ
小清水漸──ものの実体を見せること
菅木志雄──空間=時間のたて・よこ
Ⅱ 「ポストもの派」の展開 1
戸谷成雄──見えない彫刻を捉える視線
遠藤利克──空洞を求めて
堀浩哉──絵画の底に触れたい
辰野登恵子──心の闇の中から
真島直子──いのちの広がり
Ⅲ 「ポストもの派」の展開 2
「ポストもの派」に続いて
川俣正──場力本願
中村一美──ある〈A〉の絵画
小林正人──それはさ、やっぱり光なんだ
Ⅳ 「いま」のあとさき
「ポストもの派」以降の新世代──下天の内をくらぶれば
新しい世代
福岡道雄──力を抜いてさり気なく

あとがき
文庫版あとがき
文庫版解説にかえて(光田由里)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

阿部義彦

11
赤瀬川原平さんのいたハイレッドセンターの事が触れられていたので、軽い気持ちで手に取ったら、結構難しくて読むのに苦労しました。図版が多いのは理解の助けにはなりました。1945~1985とあるとうり戦後現代美術の総決算を目指した本です。ハイレッドセンターはハプニングやパフォーマンスの要素もあり、風俗よりでしたが、その後のもの派は純粋芸術の方を目指した感じがします。この本では増補としてその後の村上隆、会田誠などにも触れられています。アンフォルメル→ネオダダ→ハイレッドセンター→もの派→ポストもの派が大きな流れ。2022/10/18

kana0202

1
これまで通史のなかった日本戦後美術史をまとめあげ、日本固有の歴史としてまとめあげた力作。増補は微妙な感じは否めないが、本編は非常によくできているし参考になった。中原や針生、東野の批評が簡単に読めるようにならないか、どこかで文庫化を望む。具体展や李禹煥展が開かれているなか、作家論はあれど時代背景まで意識した批評の本は珍しい。こういった本がもっと文庫化すると嬉しい。2023/01/05

十文字

0
この本でいう逸脱とは、所謂美術史から逸脱した当時(50~80年代)の日本の現代美術そのものであり、本書はそういった視点から見る美術史。 もの派のあたりは本当に整理するのが難しい。2023/01/23

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