内容説明
柳沢家の恐るべき秘事とは? 幕府の駈込寺潰しの狙いは? 奇怪な策謀に揉まれる男と女。伏線と発想の妙が光る時代小説6編ーー尼寺の鎌倉・東慶寺御用宿につとめる和三郎は、駈込女を助けたことから、幕府の陰謀と甲府15万石の柳沢家の秘事にまきこまれる……という表題作をはじめ、織田信長の子で武田家の人質となる源三郎勝長の生涯に迫る「最後の赤備え」など、時代の渦に翻弄された者たちの数奇な運命を描く、傑作6編を収めた時代小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ryohey_novels
6
時代もバラバラの中短編時代小説。宮本氏の歴史短編なのでどれも魅力的なキャラが出てきて面白いのだが、これといって印象に残るものはなく、何より短編毎の共通点がなく、不完全燃焼感あり。その中で良かったのは「尼首二十万石」「黒い川」。前者は『影十手活殺帖』の続編で東慶寺の忍び・和三郎が活躍する。完全な勧善懲悪ではないが、心地よい着地点に帰結する展開が好き。後者は珍しく主人公が百姓でかつ仇討ち談。長谷川平蔵父子を出してくるあたりが非常に憎い。2025/01/21
タツ フカガワ
4
短編6話を収録。前に読んだ『影十手活殺帖』シリーズの前段の話が表題作で、和三郎と紀乃との出会いも描かれる。その他、山本周五郎風な趣もある「最後の赤備え」や「袖簾」、鬼平親子が出てくる「黒い川」など、骨太の時代小説を堪能しました。2019/01/17
Steppenwolf
2
E読了登録者数があまりに少なく意外である。これも十分面白かった。
陸
1
全体的に戦国の殺伐とした寂しさが感じられた。2013/12/14
Zhao
1
タイトルの「尼首」はその後の影十手シリーズにつながる布石なのだけど、それ以外の短編も、武蔵、鬼平などに触れられてそれなりにくすぐられるものがありなかなか良いね。 個人的には最後の「はての嵐は」が面白かった。宮本さんの「剣豪将軍義輝」につながる世界だし・・・2013/06/03