内容説明
柳沢家の恐るべき秘事とは? 幕府の駈込寺潰しの狙いは? 奇怪な策謀に揉まれる男と女。伏線と発想の妙が光る時代小説6編ーー尼寺の鎌倉・東慶寺御用宿につとめる和三郎は、駈込女を助けたことから、幕府の陰謀と甲府15万石の柳沢家の秘事にまきこまれる……という表題作をはじめ、織田信長の子で武田家の人質となる源三郎勝長の生涯に迫る「最後の赤備え」など、時代の渦に翻弄された者たちの数奇な運命を描く、傑作6編を収めた時代小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
4
短編6話を収録。前に読んだ『影十手活殺帖』シリーズの前段の話が表題作で、和三郎と紀乃との出会いも描かれる。その他、山本周五郎風な趣もある「最後の赤備え」や「袖簾」、鬼平親子が出てくる「黒い川」など、骨太の時代小説を堪能しました。2019/01/17
Steppenwolf
1
E読了登録者数があまりに少なく意外である。これも十分面白かった。
陸
1
全体的に戦国の殺伐とした寂しさが感じられた。2013/12/14
Zhao
1
タイトルの「尼首」はその後の影十手シリーズにつながる布石なのだけど、それ以外の短編も、武蔵、鬼平などに触れられてそれなりにくすぐられるものがありなかなか良いね。 個人的には最後の「はての嵐は」が面白かった。宮本さんの「剣豪将軍義輝」につながる世界だし・・・2013/06/03
としえ
1
「影十手活殺帖」に出てくる紀乃が、東慶寺に年季奉公することになった経緯が語られる『尼首二十万石』、信長の五男、坊丸を書いた『最後の赤備え』、大薙刀をふるう女丈夫、天光の話『袖簾』、後に狂言の元となる敵討の話『雨の大炊殿橋』、日本の敵討史上、最年少の討手として伝わる兄弟の話『黒い川』、三好之長の生涯を書いた『はては嵐の』の短編六話。最後の赤備えと袖簾が好き。坊丸が最後に取った行動に、幼いころから肉親の愛情に飢えており、だからこそ策略とはいえ武田家が自分を迎え入れてくれたことが嬉しかったんだろうなと思った。2011/10/26