内容説明
すべての母への、すべての娘への物語ーーあなたは、1枚の皿を半日洗い続ける。神経症を所有することで負い続けた、荷物の置場所を見付けたのだ。わたしは今、あなたとの距離を見定めることが出来ました。母としてでなく一人の女、友人として。母への愛と亀裂を抱えた娘が、自らの新しい地平を獲得するまでを描く、出すことのない母への手紙。自伝的傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
66
愛の形は様々であることに気付いた。猫っ可愛がりする裏には哀れみもあるかもしれない。最近よく、耳にするDVも、また、愛の裏返しなのかもしれない。母は、そのまた母のために一生懸命よい娘になろうとし、娘のためによい母になろうとした。娘は…○○のために…から脱出することができた。特に母と娘は一卵性になりやすい気がする。人としてとてもよい人だとしても一心同体にはなれないのだ。親子でも別物。娘の夢は自分の夢に刷り変わりやすい親子関係。子供が私は私だ…という強い意思を持っていないと、心を支配されてしまうのかもしれない。2014/12/25
daiyuuki
0
落合恵子さんの自伝的な小説。自分を私生児にしてしまった罪悪感、いい母であろうとし過ぎて燃え尽き強迫神経症を病んだ母。実父との再会をきっかけに自分の人生を見つめ直すまでを描いた自伝的小説。「あなたはあなたであり、わたしはわたしであるのです。わたしは「母の娘」であることをやめます。わたしは幸せにわたしを生きています」2009/04/19
pantyclub
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内容はエッセイのような自伝小説。社会問題がよく表れている。生まれで社会での位置が決まることは不合理を感じる。昭和の時に女性として生まれることの厳しさを感じた。人権とはなんだろうと考えてしまう。私生児という言葉の違和感は強い。自分を生きることが大切だと思う。自分は自分を忘れてはいけない。実父の存在はなんだろうと疑問を感じる。2023/03/01