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内容説明
他の先進国が消費を拡大する中、なぜ日本だけが沈み続けるのか――原因は、緊縮財政でも消費増税でもなく「日本人の性格」だった。高度成長からバブル期は、人口増加、輸出主導で我が世の春を謳歌した。が、自己陶酔した「優しさ」「思いやり」「絆」の像とは裏腹に、じつは猜疑心が強く、他人の足を引っ張るという隠れた国民の本性が、「失われた30年」で明らかになった。後ろ向きな心持ちでの景気向上はあり得ない。本書は日本人の消費マインドが萎縮する現状を分析、数多のデータから景気浮揚できない理由を指摘し、解決策を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ジョンノレン
53
著者の日々の想いや諸々の論拠で土台のしっかりした人との印象を深めた。前半は総じて不寛容、スパイト(悪意、意地悪)行動で人の足を引っ張る傾向や強い公正世界仮説など世知辛い時勢をもたらす国民性の一端についての苦言の数々。中盤は日本のバブル崩壊後の取り分け半導体分野における選択の誤りというか柔軟な検討や変化の欠落による長期低迷の実相。後半は福沢諭吉渋沢栄一や漱石から山本七平や丸山眞男に至る日本人の思想構造の考察。GDP構造から国内消費主導への転換の必要性や夫婦別姓にも寛容であるべき保守についての議論等盛り沢山。2025/09/26
レモン
45
タイトルに惹かれて、というか驚いて購入。近代化を果たせず前近代的ムラ社会のままであることが、経済成長を阻害している要因であることをデータで分析されている。和を重んじる日本社会はゲマインシャフトという概念に当てはまり、情緒的・感情的に個人の意思が決定されたり、ルールや契約ではなく地縁・血縁・宗教で関係性を構築するなど、特徴を列記されると頷けるものばかり。前職でも人の足を引っ張ることに必死になっている人がいたり、長く勤めていることだけが重視され実際の貢献度は二の次だったりすることがあった。2022/11/03
てつのすけ
40
我が国においては、論理的、合理的に判断するより、その場の空気を重視する傾向が強い。たしかにそう思うことが多い。たとえば、私の勤務先では、在宅勤務できるにもかかわらず、コロナ禍において感染者が増加しているときでも、アホみたいに毎日出社しているヤツがいる。その理由は、業務の効率を上げるためではなく、その場にいないと所属員の雰囲気がわからないからだそうだ。そして、感染した。まったくもって非合理的だが、当の本人は、イケてるビジネスマンでいるので質が悪い。反面教師として、自分はこのようなことはしないでおこう。2022/02/09
Mark
27
筆者は、日本経済停滞の原因を国民性に求め、江戸以来の封建的秩序が近代化を阻んできたと論じる。極論気味で説得力に欠ける部分もあるが、こうした議論が評価されていること自体に興味を覚えた。 私自身も、徳川家康の影響は今も日本人の精神に強く残り、トヨタの系列構造などはまさに幕藩体制の再現だと感じる。経済低迷は国民性より雇用慣行や余剰人員に原因があり、欧州の鉄道が信用乗車制で成り立つ一方、日本では無賃乗車が横行しかねないという宗教的背景の違いも大きい。刺激的ではあるが、納得しきれない一冊だった。2025/09/21
にゃにゃころ
23
悲しいかな、おっしゃる通り...としか言えない内容。でも、決して日本人の性格が悪いっていうのではなく、要は昔からのムラ社会がずっと根強く残っているってこと。トップに立つ人の傲慢さ。データに基づく科学的な指摘を受け入れられない幼稚さ。たとえ自分が損しても他人の幸運を阻止する嫉妬深さ。自分の好き嫌いの感情で大事なことを決めてしまう。トップは肩書だけで偉そうにふんぞり返り、その下で庶民同士が足の引っ張り合い。それなのに「ニッポンスゴイ」って今はなんも凄いことないのに。あぁ、明るい日本の未来が見えなくて悲しい..2025/08/23
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