ゴーストランド

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ゴーストランド

  • ISBN:9784336071859

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内容説明

アメリカ各地に残る幽霊話は、この国が忘れようとしてきた過去、見捨てられた存在を闇の中から呼び起こす。先住民、魔女裁判、奴隷制、南北戦争、売春宿、精神病院、刑務所、廃工場――幽霊たちがかきたてる恐怖の背後には、アメリカという国が抱える根源的な不安がひそんでいる。全米の有名な幽霊スポットを興味深いエピソードをまじえて紹介しながら、「幽霊の国アメリカ」の深層を描いて話題を呼んだノンフィクション。

【目次】
著者より一言
序 幽霊出没の解剖 ニューヨーク州ニューヨーク

I 非家庭的なもの――家と館
第 一 章 隠し階段 マサチューセッツ州セーラム
第 二 章 動く土地 ルイジアナ州セントフランシスヴィル
第 三 章 果てのない家 カリフォルニア州サンノゼ
第 四 章 鼠穴の啓示 ニューヨーク州ジョージタウン&イリノイ州ブル・ヴァレー
第 五 章 短命の家系 ミズーリ州セントルイス

II 閉店後に――バー、レストラン、ホテル、売春宿
第 六 章 悪魔のような場所 ヴァージニア州リッチモンド
第 七 章 ベイビー ネヴァダ州リノ
第 八 章 通り過ぎる カリフォルニア州ロサンジェルス

III 公共心ある幽霊たち――刑務所、精神病院、墓地、公園
第 九 章 憂鬱なる観想 ウェストヴァージニア州マウンズヴィル
第 十 章 染み マサチューセッツ州ダンヴァーズ&オハイオ州アセンズ
第十一章 悪魔が来るのを待つ サウスカロライナ州チャールストン&カンザス州ダグラス郡
第十二章 我らが高名なる死者 テネシー州シャイロー
第十三章 大聖堂公園を吹き抜ける風 オレゴン州ポートランド

IV 無用の記憶――都市と町
第十四章 濡れた墓 ルイジアナ州ニューオリンズ
第十五章 廃墟の中で ミシガン州デトロイト
第十六章 ヒルズデール、USA

エピローグ ニューマシンの幽霊たち カリフォルニア州アレンデール

謝辞
訳者あとがき
文献注
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

115
歴史の浅いアメリカで、これほど多くの幽霊話や怪奇スポットがあるとは。魔女裁判や人種差別、凶悪殺人に南北戦争など歴史の負の部分にまつわる事件の舞台となった建物への強い関心がわかる。光あるところに影があるとの言葉通り、表の明るい歴史ばかり語られることに影が抗議して存在感をアピールしているようだ。隠したい暗黒部分も堂々と公開しているわけだが、日本人的な感覚では「そこまでするか」と思える例も頻出する。逆に歴史が浅いからこそホームタウンに絡む過去を強調したがるとも感じてしまう、アメリカ人の心性論としても面白かった。2022/09/02

こばまり

51
幽霊譚で振り返るアメリカ史。心霊主義と女性運動の関係性や、19世紀に建てられた精神病院の建築様式の訳等々、ハリウッド映画の時代考証的楽しさも。IOTでカスタマイズされた家屋が主人亡き後に相続人を戸惑わせる事例は、まさに最新型の幽霊屋敷だ。2022/02/20

くさてる

33
アメリカ各地に残る幽霊スポットを紹介……と思わせておいて、実際にはその伝承が産まれることになったその土地ならではの事情や複雑な社会情勢を語る落ちついたノンフィクション。だから怖い話や面白おかしい話を求めると肩透かしなんだけど(なんといってもそのほとんどは怪奇現象など実際には存在しない)それでもその伝承の意義や語られ続ける意味の解説には歴史を感じさせる深いものがあって、良かったです。2022/08/04

内島菫

23
幽霊等、超常現象が本当に存在するか否かを証明しようとするとそれはなべて間違うことになるだろう(そのことは漫画『未踏』に私なりに描いてみた)。本書の著者もグレーゾーンに白黒つけるようなことはせず、ただ人々が、グレーゾーンに何らかの説明をつけたがっていることを紹介する。つまり、幽霊という言葉自体が実は幽霊であり、幽霊に関わる人や物はみなたとえ逆説的であっても幽霊となるのだ。それこそがグレーゾーンの本領のように私には思える。2022/01/12

∃.狂茶党

19
アメリカは歴史が浅い(先住民は歴史の外にいる)、にもかかわらず、無数の幽霊譚に覆われているのは、未知の大地への恐れと不安、大きなテクノロジーのうねりが関連するのだろう。本書には収められてないが、軌道上のフロンティアである、スペースコロニーにも、幽霊譚がすでにあるのだろう。 都市伝説にすり替わっていく幽霊たち。 楽しい読み物だと思います。ただ、碌でもない単調な刺激を求めるなら、ちょっと高級でお気に召さないかもしれない。 本書は、安直な死者の消費に対して異議を唱えている。 2022/11/22

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