内容説明
無職宿ナシの亀谷幸慈は、秋葉原でカツアゲされていた記憶喪失の青年を助ける。元天使だと自称する彼を利用して小金稼ぎをもくろんだ幸慈だが、失敗して絶体絶命の窮地に。そこに、一人の女性が救いの手を差し伸べてくれた。彼女の家「猫の森」で始まった6人の共同生活。それは不思議なやすらぎに満ちたものだったのだが……。コミカルにして哀切な傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
150
★★★★☆18008 ケバい女にカツアゲされていた弱そうな男を、無職宿無しの男(主人公)が助けるところから話は始まります。助けられた男は自称・記憶喪失?元天使とか訳の分からない事を言っていたため関わらないようにと思いつつも、何だかんだで一緒に行動する事になってしまうのです。と続いたこの先が本作品の美味しいところ!この作家さんってノスタルジックな作風イメージがありますが、本作品みたいな面白話もいいなぁ〜。一言で言えばファンタジー風ドタバタ娯楽小説。楽しく読めましたよ。2018/01/19
名古屋ケムンパス
52
コミカルなファンタジー小説という感じで読み始めました。「猫の森」に集まった奇妙な6人の謎が天使と悪魔の掛け合いの中で少しずつ明らかにされていきます。皆の心に潜む人を貶める残虐性と人を敬い、尊ぶ慈愛の想いの二面性に割り切れなさを感じつつ、「愛のひと」となるための「サービスデー」が何度でも訪れれば良いのにと都合の良い気持ちになりました。心が安らぐ作品です。2020/04/19
ココ(coco)
37
☆☆☆朱川湊人さんの作品にしては、読むのに以外と時間が掛かってしまいました。描かれていたのは、悪魔と天使が出てくるパラレルワールドの世界。ラストは、少し切ない感じですが、シメ子だけは、幸せになりそうで良かったです。2017/12/18
テツ
26
朱川湊人のファンタジー娯楽小説。白朱川。現実社会に則したリアリティは皆無なのでその辺りが気になる方には厳しいかも。誰かから与えられた愛は他の誰かに分け与えてやれる。自分の置かれた状況とは別に他人のために祈り、他人のために愛を示すことの出来る強さ。そのために必要な大切なこと。読み終えてから表紙のイラストを眺め、タイトルの『今日からは、愛のひと』という一文を目にすると涙が滲んだ。2018/01/28
*
22
過ちを犯した人にも、大切な誰かや、追いかけたい夢や、周りを和ませるユーモアがあった。しかし、魂が踏みとどまれなかった一瞬で、過去も未来も黒く塗りつぶされる。だからこそ、この世界の罪と罰は哀しい。全ての罪を許すことは、きっとできないけれど、選べなかった「サービスデー」に思いを馳せてみたい。2020/03/20