文春新書<br> 検証 安倍政権 保守とリアリズムの政治

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文春新書
検証 安倍政権 保守とリアリズムの政治

  • ISBN:9784166613465

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内容説明

今も影響を残す史上最長政権の功罪
アベノミクス、選挙での圧勝、戦後70年談話、さまざまなスキャンダル、憲法改正をめぐる騒動、TPP……。7年8カ月という例をみない長期政権の評価は、いまも定まっていない。この間、日本の政治をとりまく見方は「反安倍」か、さもなくば「親安倍」かに二分された。この政権は、結局、何をやろうとし、何を残したのか? 『新型コロナ対応民間臨時調査会』『福島原発事故10年検証委員会』など、話題のレポートを次々発表しているシンクタンクが、政権当事者に対する徹底インタビューを軸として、その政権の内幕に迫る。

【執筆者】
[アベノミクス]上川 龍之進 大阪大学大学院 法学研究科 教授
『日本銀行と政治―金融政策決定の軌跡』中公新書 (2014)

[選挙・世論対策] 境家 史郎 東京大学 法学政治学研究科 教授
『憲法と世論』筑摩書房(2017)

[官邸主導]中北 浩爾
『自民党 ―「一強」の実像―』中公新書(2017年)

[外交・安全保障] 神保 謙 慶應義塾大
学総合政策学部教授
『民主党政権失敗の検証:日本政治は何を活かすか』中公新書 (共著、2013)

[TPP・通商]寺田 貴 同志社大学 法学部 教授
『東アジアとアジア太平洋』東京大学出版会 (2013)

[歴史問題] 熊谷 奈緒子 青山学院大学地球共生学部教授
『慰安婦問題』ちくま新書 (2014 )

[与党統制]竹中 治堅 (たけなか はるかた) 政策研究大学院大学 教授
『コロナ危機政治―安倍政権 V.S 知事』中公新書(2020)

[女性政策]辻 由希 東海大学 政治経済学部 政治学科 教授
『家族主義福祉レジームの再編とジェンダー政治』ミネルヴァ書房( 2012)

[憲法改正]マッケルウェイン・ケネス・盛 東京大学 社会科学研究所 教授
『政党政治の混迷と政権交代』東京大学出版会 (共著、2009)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

15
【概要】安倍政権下の意思決定のプロセスを政治家、官僚のインタビューを通じて明らかにする。【感想】政策の是非よりも意思決定のプロセスに焦点を当てている。政治改革の成果による首相の制度上の指導力の強化とともに、周囲に政策の調整と実行を担った政治家、官僚を揃えた。意に添った政策の実施が選挙の勝利に繋がり、選挙で勝つことで党内の求心力が強まる。高い求心力が政策の調整に有利に働く。一強体制を生んだのは制度の裏付け以上に実務を担う政治家、官僚を主要ポストに据えたことが大きい。2022/06/21

ドラマチックガス

11
大ボリューム。とても勉強になった。一方であまりに安倍政権に都合の良い書き方ばかりでそこには違和感。別にどちらかに与することが悪いとは思わないし、中立なんてありえないとも思っている。ただ、この本はイデオロギーにとらわれず冷静に批判するというスタンスを謳っている。その割にはという思いが強い。いきあたりばったりを「リアリズム」とはいわんでしょ。何より、安倍政権一番の問題と思っている手続き論を崩壊させたこと、話し合いを拒否し民主主義を愚弄したことに対して一切触れていないのは、さすがにダメでは。2022/02/28

とある本棚

8
毀誉褒貶の激しい安倍政権の成果を冷静に振り返るには良い本。選挙対策・安全保障・女性政策あたりが面白かった。特に女性政策の章は大変勉強になった。保守派を支持母体に持つ安倍氏にとって女性政策は扱いにくいにも関わらず、巧みなアジェンダセッティングで保守派の不満を和らげつつ、国民の支持を取り付けたことがよく分かった。本書の価値を減じるものではないものの、全編を通じ安倍政権の「成果」に着目するあまり、その強引な手法や課題についての記述が薄いようにも思われ、その辺りはもう少し言及があってもよかったのではと思う。2022/03/01

バルジ

6
良書。憲政史上最長の政権となった第二次安倍政権をその「統治術」に着目し内政から外交、憲法改正までを論ずる。本書に通底するのは副題の通り「保守」という理念をいかに現実と照合しリアリスティックに政治課題を処理したかである。90年代以降の統治機構改革は必ずしもその統治主体の成功を裏付けない。却って政治家・官僚等複数の政治アクターを統合運用するため「統治術」が重要性を持つ。本書でも明らかなように安倍政権はこの点、チーム官邸で卓越した術を発揮し数々の政治課題を処理した。戦略的な内外政は課題を残しながらも評価に値する2022/11/30

Roy

5
安倍晋三元首相が暗殺されたことに衝撃を受け、あらためて安倍政権とは何だったのかを学ぶため購入。政権の後半はモリ・かけ・桜の件で政権運営に支障を来していたが、外交・安全保障を中心に残したレガシーは大きい。特にTPP加盟とアメリカ離脱後のリーダーシップはその内幕も含めて見事な成果を挙げたのではないかと思う。アベノミクスに関しては、震災後の株価の低迷を持ち上げたことは良くとも、全体として「やってる感」を出していた感覚は拭えない。総じて安倍元首相は右派でありながら現実的な政治を実施してきた稀有な政治家だと感じた。2022/08/11

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