内容説明
ナチによるユダヤ人虐殺といった史実について、意図的に歴史を書き替える歴史修正主義。フランスでは反ユダヤ主義の表現、ドイツではナチ擁護として広まる。1980年代以降は、ホロコースト否定論が世界各地で噴出。独仏では法規制、英米ではアーヴィング裁判を始め司法で争われ、近年は共産主義の評価をめぐり、東欧諸国で拡大する。本書は、100年以上に及ぶ欧米の歴史修正主義の実態を追い、歴史とは何かを問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
149
特にホロコースト否定論に欧米社会がどう対応してきたかが非常によくわかった。歴史修正主義は、「歴史の再検証」という歴史学的な試みではなく、「私にとっての真実」を通して、史実に対する認識のゆらぎを呼び覚まし、歴史の政治利用に繋げてゆくことが目的である。独仏のように法律で規制したり、アーヴィング裁判のように「司法が歴史を判断」することが正しいのだろうかとは思うが、そうせざるを得ないほど危機的な状況だったのだろう。本書で、欧米諸国の毅然たる態度を読みながら、どうしても我が国の危うさに思いを馳せずにはいられない。2022/01/18
KAZOO
124
日本ばかりではなく世界のどこにでもこのような歴史を修正する考えをもつ人々が出てくるということがよくわかります。それを近代以降の事件をいくつかとり上げて検証しています。ここには日本の例はありませんが、日本でもそのようなことを書いた雑誌が廃刊になったこともあるようです。歴史総合という科目が新しくできたということで、今後その歴史実証主義がきちんと反映されていくことを望みます。2022/10/06
skunk_c
102
ホロコーストに対しどう社会が事後に対応してきたかを研究する著者が、主に反ホロコースト的な言説と論争を紹介しながら、その現代的位相を明らかにしようとする。冒頭と最後に著者のかなり丁寧な歴史観が明らかにされており、その一筋縄でいかない、多面的でダイナミックな捉え方には概ね同意できた。また日本のことは直接ではないがかなり意識して書かれているようで、時折合わせ鏡を見ているように思えるところも。読みやすくおすすめの良書と思うが、歴史の重層構造をいいながら、すっと「歴史の否定」という言葉が出てしまうのはなぜだろうか?2022/01/05
syaori
81
歴史修正主義についての本。歴史記述は新しい発見や史料の開示により書き換えられていくものなのに、歴史修正主義はなぜ批判されるのか。その問題点や特徴などが欧州での議論の歴史とホロコースト否定論に対する裁判などを通して具体的に示されます。歴史修正主義が問題なのは、「自分の信じる「現実」」から出発して、そこへ到達するために史料の意図的な読み替えや切り捨ても行う不誠実で悪質なものだから。本書は、それに対して個人や国はどう対応していくべきか、欧州での論争と法規制の進展を通して示唆していて、とても参考になる一冊でした。2023/01/31
Panzer Leader
78
歴史修正主義やホロコースト否定論についての論争・裁判・法規制をドレフュス事件から説き起こした新書。新史料や視点を変えての歴史の書き直しに対して、歴史修正主義は「歴史的事実の全面的な否定や恣意的に矮小化したり、ある点のみを誇張したりして、歴史を書き替えようとすること」とのことだが、そういうのは「歴史捏造主義」とか「歴史改ざん主義」とか呼称したほうが分かりやすいのではないかと思う。2022/05/05
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