内容説明
「総括リンチ」の真相、
逮捕者17人&死者12人の実像と、
その後の人生を、元メンバーに直撃!
逃亡か、死か……。
本当は、何と戦うべきだったのか……。
彼らの「運命」を分けた瞬間とは?
事件をモチーフにしたコミック『レッド』『ビリーバーズ』作者
山本直樹氏インタビューも掲載!
「組織」の前史から崩壊まで、詳細資料も満載!
これを「狂気」だと呼ぶ者も多い。
しかし、果たしてそうだろうか。
特殊な事件として忘れ去っていいのだろうか。
同じ事柄を異なる視点から見る。
芥川龍之介の『藪の中』と同様の手法だ。
四人の方々の見方はそれぞれ異なる。
そのどれが正しいということはない。
みなさんが、それぞれの言葉を、
考える素材にしていただきたい。(「はじめに」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
30
副題に「50年後に語られた「それぞれの真実」」とあるように、同じ総括の場にいた者でも、幹部と兵士、赤軍派と革命左派、男性と女性、あるいは最後まで留まった者と途中で逃げた者、それぞれの立場で証言が微妙に異なっているのが連合赤軍事件の特徴だ(もっと言えば、殺した者と殺された者でも違うはずだが、殺された者の証言は当然ながら存在しない)。本書には当事者はもちろんのこと、『レッド』を描いた山本直樹、金子みちよと吉野雅邦の友人で作家の大泉康雄へのインタビューが載っているが、そこでも温度差はあり、(つづく)2022/12/07
秋 眉雄
16
当事者としての加藤倫教・岩田平治・植垣康博・前澤辰昌の四氏、『RED』作者山本直樹さん、他関係者3名。語られる言葉たちはどれも声をひそめられた感じもなく、長い年月を経たからでしょうか、ある意味ざっくばらんでいきいきとしているように思いました。いま、活字として残すインタビュー本にしたというのはホントに興味深いことだと思いました(どうせなら座談会は無理でも対談くらいは出来なかったのかとも思いましたが)。この辺りのことに関心のある方にはとても貴重な一冊だと思います。2023/09/20
100名山
6
書店で買える事件の当事者や重信親子の書籍はすべて読んでいるし、大地の牙や周辺の小説、レッドも読みましたが本書が最も資料としては充実しています。行き詰った若者の二つのグループが劣等感と競争心から勢いで間違えて鉈を振り下ろし、後戻りができなくなったと思いました。思想や革命という言葉を取り払うと、ただの人殺しであることを彼らは気が付いていると思います。2022/12/22
マーク
6
29 基本的にテーマが興味深いので、一気に読む。ただ、あまりできた本ではないかな。新たな発見は少ない。 ◎山本直樹 レッド ●若松孝二 ●田中美津 ウーマンリブ ●つげ義春 ねじ式 三上寛 ○加藤倫教 東海の二年先輩 三年下の弟、元久は東海ではない 自然保護。自民党員! ○植垣康博 静岡のスナック経営 ○前澤辰昌 ちょっと勉強できない?こんなメンバーもいたんだ。 ○大泉 金子、吉野の友人。凄惨な事件だが、中でも夫に見捨てられた身籠った金子みちよは酷い。 2022/05/10
okachimen
2
言葉に体を従わせようとするのがマチズムだとした上で、連合赤軍の失敗は左翼の失敗じゃなくてマチズムの失敗だったのではという山本直樹の言葉に膝を打った。森恒夫が剣道部だったという話がよく出てきたのも印象的。「論理と感性が対立したときは感性を信じる」と語った岩田平治は脱走して生き延びた。一方、恋人の金子みちよを総括の末、殺してしまった吉野雅邦は「上が何を考えているか忖度して行動する日本のモーレツサラリーマンみたいな体質」と評されていた。連合赤軍的な空気は、2022年のいまの日本の社会にまだまだ残ってる。2022/11/24




