絶版文庫万華鏡

個数:1
紙書籍版価格
¥2,200
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

絶版文庫万華鏡

  • 著者名:近藤健児
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2022/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 600pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787292636

ファイル: /

内容説明

ぜっぱん【絶版】……何らかの事情で、その本の以後の印刷・販売を中止すること。
ぶんこ【文庫】……小型のシリーズによる、名著(普及の望まれる本)の廉価版(の名)。「――本」(『新明解国語辞典』第6版、三省堂)

本書は、戦前期(1910-45年)から戦後期(1945-90年)、そして平成以降(1990-2020年)の3つの時代区分に沿って、さまざまな事情で絶版になった文庫本の作品を紹介・解説する。岩波文庫、新潮文庫、角川文庫など現在まで続く老舗文庫をはじめ、春陽堂文庫や金星堂名作叢書、アカギ叢書などのいまはもう失われた文庫まで、ありとあらゆる絶版文庫を、著者が掘り出した希少なコレクションのなかから91点厳選し、作品の見どころから作者のプロフィール、当時の出版事情などのトリビアをふんだんに交えながら1点ずつ解説する。

菊池寛や尾崎紅葉ら文豪たちの作品の貴重な文庫判、トルストイやリンドグレーンらの海外の名作、かつてサンリオが出版していた少女向け作品を集めたサンリオ・ギフト文庫や、先駆的なSFやマニアックな現代文学を集めたサンリオSF文庫、大手版元のものとほとんど変わらない品質の希少な文庫判同人誌、九州で活動する新しい出版社・伽鹿舎の文庫など、「文庫」と名の付くものは徹底的に網羅している。さらには文庫本それ自体にとどまらず、矢口進也『文庫そのすべて』(図書新聞)をはじめとする「文庫ガイド本」の詳細なリストまで所収する。

古書好き、文学好きは必読のガイドであり、文庫を縦軸にして戦前から現在までの出版史の一側面を照らし出す書でもある。貴重な書影も多数所収。

目次

はじめに

第1章 戦前の絶版文庫――一九一〇―四五年
 ストリンドベルヒ『絆』島田青峰訳(「アカギ叢書」第三十六編)、赤城正蔵、一九一四年
 ザイツェフ『心の扉』昇曙夢訳(「海外文芸叢書」第二編)、海外文芸社、一九一三年
 エルマー・ライス『街の風景』杉木喬訳(改造文庫)、改造社、一九三九年
 菊池寛『東京行進曲』(改造文庫)、改造社、一九三〇年
 シエンキエヴイツチ『十字軍の騎士』森田草平訳(「世界大衆文学全集」第五十一巻)、改造社、一九三〇年
 田山花袋『曠野の恋』(金星堂名作叢書)、金星堂、一九二二年
 マイエル『愛国者』上・下、岡村弘訳(世界文庫)、弘文堂、一九四〇年
 『エマスン詩集』中村詳一訳(「泰西詩人叢書」第二編)、聚英閣、一九二三年
 有島武郎『三部曲』(「有島武郎小全集」第九巻)、春陽堂、一九三三年
 吉井勇『戯曲 夜』(「現代文芸叢書」第十七編)、春陽堂、一九一二年
 エッヂオース『少技師ジヤーバス』前田晃訳(春陽堂少年文庫)、春陽堂、一九三三年
 尾崎紅葉『二人女・心の闇』(春陽堂文庫)、春陽堂、一九三二年
     『青葡萄・煙霞療養』(春陽堂文庫)、春陽堂、一九三五年
 セェ・エフ・ラミュズ『悩めるジャン・リュック』石川淳訳(世界名作文庫)、春陽堂、一九三五年
 長田幹彦『祇園小唄』全四冊(日本小説文庫)、春陽堂、一九三二年
 ゲオルク・カイゼル『朝から夜中まで』北村喜八訳(泰西戯曲選集)、新潮社、一九二四年
 有島生馬『蝙蝠の如く』(代表的名作選集)、新潮社、一九二四年
 ブリュウ『独身婦人 全』中村星湖訳(第一期新潮文庫)、新潮社、一九一四年
 マアテルリンク『マレエヌ姫・闖入者』山内義雄訳(第三期新潮文庫)、新潮社、一九三九年
 ユーゴー『ユーゴー集』高野弥一訳(袖珍世界文学叢書)、中央出版社、一九二九年
 フランソア・コペ『銀の指抜』大野俊一訳(山本文庫)、山本書店、一九三六年
 ハウプトマン『謝肉祭』大野俊一訳(山本文庫)、山本書店、一九三六年
 ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

61
戦前から最近に至るまでの絶版となってしまった文庫本の紹介。知らないレーベル、知らない作家、文学史的には有名でも今読まれなくなってしまっている作家とその作品など、びっくりするくらい発見がたくさんあった。図書館に行けば全集があるじゃないかと思われる方もいるかと思うが、(日本語の)全集にまとまっていない作家・作品も多いと思う。復刊の動きがあってもおかしくないものも散見されるので、これからの各出版社の動きを注視したい。2022/02/27

駄目男

18
確かに私の趣味は古本、絶版本なのだが真のマニアから見たら私などは序の口38枚目ぐらいだろう。今でこそパソコンで検索できるが、その昔、パソコンなどない時代に絶版本など調べるにどうしていたのだろうか。そもそも絶版本などは、この本は既に絶版になっているという知識があって初めて分かるが、何も手掛かりがなければ過去にどんな本が絶版になっているか知る由もない。著者によると文庫本の起源は明治、大正まで遡ることが出来るらしく、その時代の絶版本をどうやって知ったのかは分からないが、その手の本を相当数持っているようだ。2022/04/20

月華

4
図書館 本の感想が色々辛口で、救いのなさそうなものが多い印象でした。翻訳ものしかないかと思ったら、翻訳ものが多いだけようでした。2022/09/20

aoto

3
不思議なもので、絶版だと言われたときに読みたくなる。本書では絶版になっている本の紹介がなされている。簡単な出典と、あらすじ、書誌学的な情報が載せられていて、本の写真もある。場合によっては古本屋での流通状況なども記されていて、古本屋巡りをするときに手元に置きたくなる一冊。ロマンしかない。2022/04/11

はぐみ

1
本はそこそこ読む方だし、古本屋にも一時期よく通ってたから、知ってる本ばかりかなぁと思ったら大間違いでした。著者の感想が少々辛口になるのも面白かった。 この手の本を読むとあるあるですが、読みたい本が増えてしまう。大量の積読があるのに、どうする!私笑2022/09/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19033331
  • ご注意事項