ヌシ - 神か妖怪か

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ヌシ - 神か妖怪か

  • 著者名:伊藤龍平
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 笠間書院(2021/10発売)
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  • ISBN:9784305709431

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内容説明

ヌシ(主)とは長いあいだ一箇所に棲み続けて、巨体になった生物のことです。
本書は、川や湖、池、沼、深山幽谷、古城廃屋など、日本各地に棲む龍、大蛇、蜘蛛など様々なヌシを取り上げ、伝承や文献などの資料を交えて考察。人とヌシとのつきあい、ヌシの種類、ヌシの行動、ヌシの社会、ヌシと文芸、現代のヌシなど、多角的な視点から日本のヌシに迫ります。

目次

序・ヌシと日本人
目次

第一章 英雄とヌシ
 英雄たちの怪物退治/神話の英雄、伝説の英雄/ヌシの条件/登場人物の横顔 
第二章 神・妖怪とヌシ
 夜刀神の領分/国津神の末裔/神でもあり、妖怪でもあり/水木妖怪とヌシ 
第三章 ヌシとのつきあい方
 ヌシとの約束/ヌシと雨乞い/椀貸し伝説/共同体と個人 
第四章 ヌシの種類
 水棲生物のヌシ-蛇、魚、蟹など/虫類のヌシ-蜘蛛/陸棲動物のヌシ-牛/ヌシへの供物-馬と、人間体のヌシ 
第五章 ヌシの行動学
 人を襲う・テリトリーを作る/人に祟る/毒を吐く・昇天する・修行する/人をさらう・子孫を残す 
第六章 ヌシの社会
 沼神の手紙/秘密の地下水脈/引っ越しをする理由/物言う魚 
第七章 ヌシVSヌシ
 戦場ヶ原の神話/縄張り争いをするヌシ/助けを求めるヌシ/異類合戦 
第八章 ヌシが人になる
 物食う魚/干拓事業とヌシ/ヌシと暮らす/タクシー幽霊とヌシ 
第九章 人がヌシになる
 ヌシになった人/ヌシになる方法/幽霊かヌシか/実話怪談のなかのヌシ 
第十章 文学のなかのヌシ
 『八郎』と八郎太郎伝説/『龍の子太郎』と小泉小太郎伝説/『夜叉ヶ池』と夜叉ヶ池伝説/沈鐘伝説 
第十一章 現代のヌシ
 未確認動物とヌシ/怪獣とヌシ/ダム湖にヌシは棲むか/里山とヌシ 

後書・ヌシの棲む国
注一覧
都道府県別ヌシ索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

125
子供の頃に帰省してふざけていると「悪さをする子は裏山のヌシ様に食べられるぞ」と祖母に脅されて本気で泣いてしまった。しかし、そもそもヌシとは何なのか調べたり解説した本はなく、水木漫画に登場する妖怪とも違う異質な怪物かと思っていたところへ本書と出会った。ヌシの伝説は全国各地にあり、淀んだ水に棲むなどの共通項があったり独自の行動をとるなど土地神話の象徴であるのが見えてくる。幻想文学に登場したりウルトラシリーズで多くの怪獣が沼や湖から現れたのもヌシ伝説あればこそとすれば、ヌシとは日本人の心に棲むものではないのか。2022/09/28

へくとぱすかる

71
神か妖怪か。どちらでもあり、どちらでもないのが、「ヌシ」の特徴。「トトロもヌシなのでは?」と思っていたら、最終章でやっと出てきた。日本各地の伝承を集めているが、まだヌシについての研究が進んでいないため、結論というものは書かれていない。これからである。トトロのようにやさしいばかりではなく、恐ろしい面のあるヌシもいる。都市伝説としてのタクシー幽霊で、なぜ座席がぬれているのか。著者は水妖としてのヌシに起源を求めている。ウンディーネも、ヌシに相当する単語はヨーロッパにないらしいが、そのカテゴリーに入るだろう。2021/10/02

ポチ

61
池のヌシとかのヌシについてだが、多方面に渡り古くから色々といますね。嬉しかったのが、ゴジラも神の面影を残したヌシだとか。2021/10/12

サアベドラ

38
日本各地の伝承や民話に登場する「ヌシ」の性質や特徴を民俗学的にまとめたもの。2021年刊。ヌシは主に河川沼沢に棲むヘビやカメなどの水棲生物が長命・巨大化し不思議な力を得たもので、前近代の日本人とときに対立し、ときに共存して存在してきたという。いままでフィクションでしかヌシを知らなかったが、本書で「リアルな」ヌシを知ることができた。『蟲師』には人がヌシになるエピソードがあるが、本書にもヌシになった人間の話が出てきて元ネタがあったのかと少し驚いた。他の国に似た存在がいないらしいというのも発見。おすすめ。2022/12/11

びぃごろ

27
日本各地に残る伝承などからヌシについて分類されている。「長い間同じ場所にいて巨大化し、その場所を支配し霊力を持つ生物」表紙のように、水の中にいるイメージが強いが、蜘蛛や牛、蟹なども。竜巻や洪水、土石流などの自然災害をヌシの仕業と考えて語り継がれてきたように思われる。確かにいた例もあるのだろうけれど…中国語や英語に日本語のヌシに対応する言葉がないというのも面白い。2021/11/28

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