内容説明
舞台裏で渦巻く愛憎と野望。レジェンドの傑作、初文庫化!
島崎藤村の名作小説『夜明け前』が企業メセナ公演として舞台化された。ところが千秋楽のクライマックスで主演・浜島香苗が服毒死。警察は自殺と断定、捜査を打ち切ってしまう。
他殺の疑いを拭い去れず、弟の祐介は9年後、姉と同じ劇団に入団。事件当時メセナを担当した宇佐美の娘・笛子の協力を得て、かつての関係者を訪ねるが、またも悲劇が……。
初文庫化を記念し「文庫版のあとがき」を特別掲載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
66
不幸って本当に幸福の裏に潜んでいるんだと実感してしまうミステリ。文豪・島崎藤村の『夜明け前』が作品のモチーフとなっている。学生の時に藤村の文学に触れ、興味を持ったことから彼の人となりを調べて「マジか!?」な恋愛を覗き見してしまい少なからずショックを受けた思い出深い人物がこの人。そんな癖が強い藤村が書いた『夜明け前』が現代に起こる奇怪な殺人事件として繋がっていく。ジトっとした執念が不幸を呼んだ、哀しい事件の全貌は女達の激しい恋が輪郭を縁取る。手堅いミステリを腰を据えて楽しんだ。舞台女優、服毒死の真相を見よ!2022/07/27
yuui
17
「とんでもない坊ちゃんだわ」ってセリフが妙に頭に残るんやけど、辻真先さん90歳ですよ😳 お話自体はシンプルで途中犯人この人しかおらんなと思ったらその通りやったんやけどツライムでしたね😢 とりあえず辛いお話でした🥺2022/04/16
coco夏ko10角
16
『夜明け前』の舞台千秋楽クライマックスで主演が死亡、9年後弟がその劇団に入団するが…。人間関係のもつれや愛憎の悲劇。犯人は途中でなんとなく分かるがそうなら最後どうするんだろう、と気になって読み進めたが辛い結末だ。2023/03/20
naolog
6
図書館にて。昨年でた文庫だったが、もとは99年に出ていたようで。島崎藤村には疎いですが、姪との恋愛、劇団、とくれば愛憎がちりばめてあるのはよく分かる。あっけなく殺された恵理だったが、そもそも軽すぎないか、いや、現実もこんなもんか。何かのひょうしに好きになってはまる…。文体はどこかドラマ風で、漢字やかなの使い方は好みではなかった。2022/10/31
ドットジェピー
5
面白かったです2022/08/13